隣地者承諾書とは

農地転用の許可申請をする場合、添付書類のなかに隣地者承諾書という書類があります。隣地者承諾書とは、隣地者に対して農地転用の転用目的を書類や図面をもとに説明をし、承諾していただいたことを証する書類です。

なお、隣地者承諾書は求めないようにする旨の通達が国から出ています。遵守する自治体もあれば、従来通りとする自治体もあります。本来はこのようなローカルルールをなくすために国が通達を出しているのですが、自治体によって対応が異なります。そのそも「承諾書として押印させる」ことは必要なのでしょうか?農地を転用するのに隣地者の承諾が必要?その根拠法令はどこにあるというのでしょうか。

例えば、当事務所がある滋賀県長浜市では、隣地承諾書は国の通達に従って廃止されました。しかし、隣地者には従来通り説明等が必要です。やることはさほど変わりません。農地転用許可申請をするにあたり、周辺土地所有者と揉めていないことを証明する書面が必要だということでしょう。転用後に紛争状態になると、「市が許可出してるんだから」「許可を出した市の責任だ」ということになりかねないのですから。

隣地者の対象となる方とは

隣地者の対象となる方は、申請地に接する土地が田や畑といった農地である場合の土地所有者です。実務としては、公図を取得して申請地に接する土地を確認し、さらにその土地の登記簿(登記情報でもよい)を取得して地目を確認します。公図には地番が記載されていますから、この地番をもとに登記簿謄本を取得して地目、地積、所有者を確認することができます。

また、登記簿謄本を取得するより早くて安価なのが登記情報の取得です。ネットで検索してそのまま登記情報を保存できます。これはあくまでも登記簿謄本ではありませんので、申請や届出に添付することは認められませんが、本件のようにデータを確認するのが目的の場合は非常に有用です。

登記簿上の地目が農地なら隣地者の対象とする、登記簿上の地目は農地ではないが現況は農地になっている土地は隣地者の対象とするなど、自治体によって異なります。農地転用はローカルルールが多いことも特徴です。当事務所で受任した場合には公図と登記簿で確認し、さらに現地調査もいたします。

隣地者に説明して書類を作成する

農地であれば水利が関係しているわけです。隣地者が所有している農地の隣が農地ではなくなるので、隣地者が所有する農地に対して、水利に影響があることが考えられます。

特に排水の流れが遮断されてしまうようになると重大な影響があります。そこで、隣接する農地の所有者に、農地転用の転用目的や転用計画をご説明して農地転用を承諾してもらい、署名・押印していただく書類が隣地者承諾書というわけです。

当事務所にご依頼いただいた場合、ご希望であれば隣地者へのご説明と押印取得もいたします。農地転用の許可申請に必要な書類と図面を持参し、転用目的と転用計画をご説明します。ただし、この分は報酬額に加算されますのでご自身でされる場合はその分お得ということになります。隣地者と普段から交流がある場合にはご自身でされることもご検討ください。

実務上、登記簿謄本上の所有者が記載されている住所に住んでおられないこともあります。また、そもそも相続登記をしておられない場合には所有者はお亡くなりになっていることもあります。このようなケースでは隣地者承諾書を作成することはできません。そこで、実際の耕作者にご説明・依頼をして隣地者承諾書に押印してもらい、さらに経過書を添付します。相続人を探してまで説明と押印取得をしなければならないというわけではありません。これもお住まいの地域の農業委員会事務局の判断によりますのでご自身で手続きされる場合は確認が必要です。

農地転用は押印書類が多い

ちなみに農地転用の許可申請にはこれらの他に申請者、推進委員、農業委員、組合長の署名・押印が必要な書類もありますが、これらも自治体によって異なります。申請地が土地改良区の受益地の場合は、土地改良区除外の手続きもしなければなりませんので、さらに改良区担当総代の署名・押印も必要となります。農地転用はこのように署名・押印が必要な書類が多く、図面作成も必要なため、取り扱う行政書士も少なくなっています。

しかしながら、先述した隣地者承諾書と同様に、国からの「根拠法令の農地法に記載されていない書類や押印の取得をさせて市民に負担をかけるな」という内容の通達にこれらも該当します。さすがに申請書は押印不要にはなりましたが、まだまだ国からの通達どおりには対応されていないことがほとんどです。

行政書士かわせ事務所では農地転用の申請や届出を承ります。農地の利用目的を変更したい場合や農地の売買を計画されている方はホームページをご覧頂き、お問合せ下さい。なお、不動産業者や太陽光発電業者からのご依頼も承っています。

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