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副業・兼業を認めるリスク
近年、副業・兼業を望む人が増加傾向にあります。コロナ禍で本業の収入が減ったという背景もあるようです。一方、雇用主である会社側からみると、副業・兼業を認めるにあたっては以下のようなリスクがあります。
- 秘密漏洩の危険性
- 副業・兼業による本業への支障
- 副業・兼業先での労働時間を加算すると長時間労働になる
これらを確認し、合意書を交わし、できる限りこれらのリスクを低減させる必要があります。合意書は厚生労働省のガイドラインを参考に作成します。
もちろん、就業規則に規定を置き、副業・兼業を認めない会社が多いと思われます。しかしながら、労働者側が求める就業環境は変化してきており、働き手不足といわれている昨今、副業・兼業を認めざるを得ない状況になる可能性もあります。
副業・兼業に関する合意書の条項
副業・兼業に関する合意書に記載する主な条項と留意すべき点は以下のとおりです。
- 副業・兼業の内容等
- 遵守事項
- 報告
- 届出
- 健康管理
- 有効期間
副業・兼業の内容確認
副業・兼業の内容を双方で確認します。雇用形態、副業・兼業先の所在・名称・事業内容、契約期間、所定労働時間、始業・就業時刻は必須です。
リモートワークなど、事業所へ出勤することがない就業形態もあるので、臨機応変に記載します。
遵守事項
副業・兼業に関する裁判例では、労働者が労働時間以外の時間をどのように利用するかは、基本的には労働者の自由であり、各雇用主においてそれを制限することが許されるのは以下のようなケースで該当すると解されています。
- 労務提供上支障がある場合
- 業務上の秘密漏洩
- 競業により自社の利益が害される場合
- 自社の名誉や信用を損なう行為等がある場合
これらのことから、ガイドラインに沿って一定の禁止・制限事由に該当する場合を除き副業・兼業を認める場合の遵守事項等を定めておきます。
副業・兼業先での実労働時間の情報提供義務
副業・兼業先においての実労働時間を、①一週間分をその週末に報告をする、②所定外労働があった場合のみ報告をする、③時間外労働の上限規制の水準に近づいてきた場合に報告する等が考えられます。
健康管理面
使用者が労働者の副業・兼業を認めている場合は、健康保持のため自己管理を行うよう指示し、心身の不調があれば都度相談を受けることを伝えること、副業・兼業の状況も踏まえ必要に応じて法律を超える健康確保措置を実施することが適当であるとされています。
また、副業・兼業を行う者の長時間労働や不規則な労働による健康障害を防止する観点から、働き過ぎにならないよう細心の注意を払う必要があります。
有効期間
合意書には有効期間を定めておき、さらに副業・兼業を継続する場合には、改めて届出をし、改めて合意書を取り交わさなければならないと記載します。