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業務妨害罪とは
業務妨害罪とは、偽計(ウソや虚偽等)や威力(怒号や暴行、脅迫等)を用いて業務を妨害する罪です。「業務」は、企業やお店はもちろんのこと、非営利団体などにも適用されます。
業務妨害罪は、「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」になり、ついやってしまったとしても軽い罪では済みません。なお、公訴時効は3年です。
業務妨害罪には2種類あり、偽計業務妨害罪と威力業務妨害罪です。どちらも業務を妨害されたことには変わりませんが、その行動が異なります。
偽計業務妨害罪とは
偽計とは
偽計(ぎけい)とは、あまり聞きなれない言葉ですが、「偽計を用いて」とは、ウソ・虚偽の情報・勘違い(錯誤)・不知による妨害です。
業務とは
「業務」とは、人々が社会生活を維持する上で反復・継続して従事する仕事を指します。必ずしも営利目的でなくても構いません。
業務に「公務」が含まれるかですが、強制力を伴わない権力的公務や非権力的・私企業的公務については業務妨害罪の「業務」に当たるとされています。
強制力を行使する権力的公務については、有名な「公務執行妨害罪」の対象とされていますので別の罪です。
妨害とは
「妨害」とは、業務の執行又は運営を阻害するおそれのある状態を生じさせることをいいます。よって、必ずしも現実としてその業務が阻害される結果が生じる必要はありません。
信用毀損罪とは
偽計業務妨害罪は刑法233条後段により定められています。刑法233条前段には、信用毀損罪も定められています。
信用毀損罪は、偽計業務妨害罪と似ていますが、人の信用(経済的信用を指すが、商品の品質などに対する社会的信頼も含みます)を毀損する行為です。
偽計業務妨害罪の例
偽計業務妨害罪の例としては以下のようなものです。
- 無言電話、イタズラ電話 会社やお店にしつこく電話する
- 虚偽の通報 火事だと虚偽の通報をする
- SNSでウソの投稿
- SNSで犯行予告
- いわゆるバイトテロ
偽計業務妨害罪も信用毀損罪も、広めた内容が「虚偽」であることが必要です。
威力業務妨害罪とは
もう一方の業務妨害罪は威力業務妨害(刑234条)です。こちらも偽計業務妨害罪と同様に業務を妨害する罪ですが、偽計ではなく「威力」を用いたものです。
威力とは
「威力」とは、怒号・暴行・脅迫をいいます。定義としては「人の意思を制圧するに足りる勢力を用いることです。大声で怒鳴ることも含みます。
暴行・脅迫に限らず、地位や権勢を利用する場合も含みます。現実に他人が意思を制圧されることを要しません。
威力業務妨害罪の例
例えば、飲食店で「ご飯、気持ち多めにしといて」と言った客に対して、店員は「いえ、大盛にすると80円加算です」と答えました。
この店員はお店のルールどおりの対応です。しかしこの客は「そんなことわかっとるわ、せやから気持ち多めて言うとんねん」と言い返します。
ここで客が納得すればいいのですが、融通が利かない奴だと激怒することになり、店員を大声で怒鳴りつけ、テーブルやイスを蹴飛ばしました。
他の客や従業員は混乱し、お店の隅に逃げ隠れしました。結果として15分間にわたり営業を中断せざるを得ませんでした。
威力業務妨害罪はこのような場合にも適用されます。この例は関西特有かもしれませんが似たようなことが発生することは少なくないかもしれません。
告訴・告発とは
実際に上記のような被害に遭った場合、警察に助けを求めるのが最善です。よく「警察は民事不介入だから何もしない」と言いますが、業務妨害罪は立派な刑事事件です。
厳罰をのぞむのであれば、告訴・告発をすることになります。お店の防犯カメラに一部始終が録画されており、これを証拠として告訴することも考えられます。
被害を受けたのが会社の場合は、会社代表者が会社名で告訴状を作成して告訴することになります。また、「告訴・告発・被害届」の違いは以下のとおりです。
告訴とは
告訴とは、犯罪被害を被った被害者等の告訴権者が、捜査機関(通常なら警察署)に対し、犯罪事実を申告して犯人(被告訴人)の処罰を求める意思表示をすることです。
告訴は口頭でもできる定めですが、通常は告訴状を提出して行います。警察署は、告訴状を受理した後は必ず捜査を開始し、処罰へとすすめなければならない定めです。
しかしながら、受理してもらうことは意外とハードルが高く、告訴状に不備があったり記載事項が不足しているなどの理由で受理してもらえないことがあります。
告発とは
告発は告訴とほぼ同様です。告発は、被害者以外の第三者が犯罪事実を知って、捜査や加害者(被告発人)の処罰を求める意思表示です。よって、告発は誰でもすることができます。
当記事では便宜上、または読みやすいように告訴・告訴状とだけ記載していますが、告発・告発状も含むを解釈していただくようお願いします。
被害届とは
最も一般的なものは「被害届」だと思われます。被害を被った被害者が警察署へ届け出るのは告発と同じですが、こちらは「犯罪があったことを警察に報告」するものだとお考え下さい。
被害届は、捜査するかどうかは警察の判断に委ねられるからです。
今回の記事はここまでです。
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