境界近くに建物を建てられた

隣家が境界ギリギリに建物を建てた場合、トラブルになることがあります。建築基準法では、防火地域又は準防火地域で外壁が耐火構造である建築物は境界線に接して建築することができるとされています。よって、上記に該当せず、異なる慣習がないのであれば、民法の規定が適用されます。民法では、「境界線から50cmの距離を離して」建築しなければならないとしています。

すでに建築されている場合、損害賠償請求が認められることもあります。圧迫感が酷い、採光・通風の妨げなど社会通念上受忍すべき限度を超えるような被害を受けている場合であれば可能性があります。損害賠償請求となると、訴訟で請求となることが想定されますが、お隣さんに対して訴訟提起するとなると以後の関係性も悪化する可能性が高くなります。

境界(筆界)に争いが発生

筆界に争いがある場合、境界確定訴訟によって決着をつけることができます。ところが、境界確定訴訟では、裁判所は当事者の主張する境界線に拘束されません。また、通常の訴訟なら有効である和解や認諾もありませんし、不服申し立てをして上訴審になると不利益変更も認められます。訴訟ですので弁護士を代理人をすることも多く、費用も時間もかかってしまうこともデメリットだといえます。

そこで、対象土地の管轄の法務局に筆界特定の申請をする、筆界特定制度を利用する方法もあります。法務局は、申請があると土地家屋調査士等の専門家を筆界調査委員に指定します。実地調査や測量などを経て登記官が筆界を特定する制度です。

境界に塀や境界標をつくる費用

境界線上に塀を設置するのであれば、費用は隣接した建物の所有者が2分の1ずつ負担するのが原則となっています。あくまでも建物所有者同士のことなので土地所有者が異なるケースや、隣地に建物が建っていないケースには該当しません。また、2分の1ずつ負担することは原則です。隣人に相談もなく勝手に塀を設置し、あとでかかった費用の2分の1を請求することは認められません。

塀の高さ等について協議によって定めればよいのですが、定めらなければ板塀(竹も可)により高さは2mとしなければなりません。仮にプライバシーを守るためだと言って5mや6mの高さの塀を設置した場合については裁判所で争うと高さ2mを超える部分の撤去命令が出されることになるでしょう。また、塀ではなく境界標の場合については、隣地所有者と2分の1ずつ負担しますが、測量の費用についてはそれぞれの土地の面積に応じて負担しなければならないので注意が必要です。

隣の店の看板で自分の店の看板が見えなくなった

お互いに店舗経営をしている隣地者との争いです。先に自分の店に看板を設置し、後からお隣の店が看板を設置した例で、新しく設置された看板が自分の店の看板を隠してしまって見えなくなった場合です。民法上、他の法令に違反しない限りは自分の土地を自由に使用できる権限を有しており、その土地の所有権は土地の上下にも及ぶとされています。

お隣の看板のせいで自分の店の看板が見えなくなったのだから集客減、売上減などの不利益を被ることになる可能性があります。このような例は他にもたくさんあることでしょう。人は自由であることを法令で保証されていますが、自由同士がぶつかることがあり、この場合はどちらの自由を優先するべきなのでしょうか。

例のケースでは、社会通念上で受任できないほどの不利益を被った場合以外については受任すべきであると考えられます。受任すべき限度を超えると認められない限りは違法に侵害しているとはいえないということです。この看板の設置が、専ら隣の店の看板を見えなくする目的で設置された場合については社会通念上で相当な権利を行使したとはいえないため違法に侵害していると認められることもあります。

隣家から雨だれが自分の敷地に落ちてくる

お隣の屋根の樋が破損して強い雨が降ると自分の敷地に雨だれが落ちてくるケースです。この場合、屋根自体を撤去することはできませんから樋の改修を請求することになるでしょう。また、改修にかかる費用はお隣が負担すべき問題です。

お隣が請求に応えない場合は樋の改修を命ずる判決を得て、お隣の費用負担で樋の改修をすることになります。しかしながら実際には訴訟となると弁護士費用もかかるため及び腰になってしまうことも大いにあり得ます。調停の利用などを検討することも視野に入れなければなりません。

監視カメラの撤去を請求したい

近年、カメラ性能が向上し、価格も下落しています。防犯目的で自宅屋外にカメラを設置し、撮影範囲が自宅敷地内であれば何も問題となることはありません。ところが、近隣住民同士のトラブルにより、一方がする、証拠収集のために他方のプライバシーを侵害する程度にまで及んだカメラ撮影は問題となることもあります。

社会通念上受忍すべき限度を超える不利益を与えるものだと認められれば違法だとされる判例もありますので、慎重に行動しなければなりません。この、社会通念上受忍すべき限度を超える不利益という言い回しはご近所トラブル(相隣関係)で頻繁に使用します。騒音や悪臭などは個人によって感じ方が異なりますし、まったく近隣に影響を与えないということも現代社会では困難なので「これぐらいは常識として我慢して受け入れるべきだ」という判断基準があるということです。

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