農地売買制度の変更

農地法の許可を得ずして農地売買が可能となる「利用権設定等促進事業」が、法改正によって終了となり、「農地中間管理機構」の農地売買等事業になります。

現在の利用権設定等促進事業は令和7年2月15日の受付をもって終了しますが、地域ごとに「地域計画」の策定がすすんでおり、策定できた地域から順次、受付が終了しています。

これにより、農地を売買する際には①農地法3条許可申請②農地中間管理機構の農地売買等事業申請のいずれかを選択することになります。

なお、相続による農地の取得の場合は、農地法3条の3届出でOKですので許可申請は不要です。

農地中間管理事業とは

農用地利用の効率化や高度化を促進するため、農地の所有者(出し手)から農地を買い取り、耕作者である担い手等(受け手)へ売り渡す事業です。

また、売買だけではなく、農地の貸借についても事業化され、この場合は、農地の所有者(出し手)から農地を借り受け、耕作者である担い手等(受け手)へ貸し渡す事業です。

滋賀県の場合、滋賀県知事から農地中間管理機構の指定を受けて、「公益財団法人滋賀県農林漁業担い手育成基金」がこれらの事業を行っています。

農地売買等事業の対象

以下の対象となる農地を対象となる受け手に売却する場合がこの事業の対象となります。この事業では農地法許可は不要、登記まで出来るのでメリットはあると思われます。

  1. 事業の対象となる農地は、青地もしくは青地と一体的に取り扱う白地(市街化区域に所在する農地は対象外となる)
  2. 事業の対象となる受け手は、いわゆる担い手(認定農業者等)もしくは担い手以外で地域計画において「農業を担う者」として位置付けられた者

農地売買等事業の留意事項

未登記については対象外となりますので、事前に登記をしておかなければならず、登記名義人の住所も現住所である必要があります。

抵当権等が設定されている場合、出し手以外の者に賃借権等が設定されている場合は不可となります。

また、あらかじめ出し手と受け手が売買価格等の条件を決定・合意している必要があります。

農地売買等事業の必要書類(個人の場合)

  1. 売買申請書
  2. 農業経営の状況等に関する資料
  3. 農地売買等支援事業参加申込書
  4. 位置図
  5. 登記事項全部証明書
  6. 固定資産評価証明書
  7. 権利の設定に係る同意書(共有名義の場合)
  8. 出し手の現住所が確認できる住民票等
  9. 受け手の住民票

手数料相当の費用

機構が出し手から農地を買い取るための対価は、出し手と受け手が合意した売買希望価格から一定の手数料を引いた額になります。

手数料は、1筆ごとに計算し、50,000円+売買希望額の1%(白地は2%)です。50,000円の部分については、複数の筆数の場合は筆数で除した金額になります。

機構が受け手に農地を売り払うための対価は、売買希望額に一定の手数料を上乗せした額になります。手数料は、1筆ごとに計算し、50,000円です。

この部分については、複数の筆数の場合は筆数で除した金額になります。なお、登録免許税の実費負担も必要となります。

売買申請後に必要な手続き

機構から出し手と受け手に「促進計画同意書(所有権移転関係)」が送付されますので、異議がなければ機構に返送します。

この際に口座振替依頼書(機構をはじめて利用する出し手)、登記に必要な出し手の承諾書と印鑑登録証明書を併せて返送します。

なお、登記の手続きが完了後、対象となる農地・人のみですが、税の優遇措置に必要となる証明書等を発行されます。

受付と処理期間

受付は随時ですが、年度開始月から2か月ごとに締切があり、当該月の15日が締め切り日となります。

処理期間については、受付から権利設定まで3~5か月で、そのあと土地代金を受払し、登記完了までに更に1か月ほどかかるようです。

令和6年4月から始まった新しい制度なので、今後変更されていく可能性もあると思われます。

なお、農政課が窓口ですが、滋賀県湖北合同庁舎(長浜市の場合)の4Fへも問い合わせることができます。

今回の記事はここまでです。

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