農地転用はどんな土地でも許可がでるのか

農地転用とは、農地を農地以外の目的で使用する場合に必要な手続きです。例えば、畑をやめて住宅を建築する場合や、田をやめて太陽光発電施設にしたりするようなケースです。

農地転用の許可申請をする場合、許可の要件をすべて満たせるかを確認しなければなりません。書類を作成して申請しても不許可になるのでは意味がありません。

では、農地転用ができない(=転用が認められない)とされているのはどんな土地なのでしょうか?許可要件を満たせるかを確認する際に、最初に確認すべきなのはこの点です。

青地と白地

青地とは

農振法という法律で農地は「青地」と「白地」に区別されます。青地とは、農用地区域として指定されている農地で、耕作条件が非常によい土地です。

マップで上から見て周りが農地で広大なら青地の可能性が高いでしょう。役所の農政課や農業委員会事務局に確認をすればわかります。

青地は原則として農地転用は不可です。農振除外という手続きをして青地から離脱できれば農地転用が可能となります。しかし、農振除外は年に2回しか受付期間がなく、(0回の年もあります)手続き自体のハードルも高いです。転用までには1年半ぐらいみておきたいところです。

白地とは

白地とは、青地以外の農地です。白地は、以下のようにさらなる区別があります。

  • 甲種農地
    市街化調整区域内の土地改良事業等の対象となった農地(8年以内)など、特に良好な営農条件を備えている農地です。甲種農地は原則として農地転用は不可です。
  • 乙種第一種農地
    10ha以上の規模の一団の農地、土地改良事業等の対象となった農地など良好な営農条件を備えている農地です。こちらも原則として農地転用は不可です
  • 乙種第二種農地
    市街化が見込まれる農地または生産性が低い農地です。駅が500m以内にある等の条件が基本です。こちらは代替性の検討が必要であり、証明資料を添付して認められたら農地転用は可能です
  • 乙種第三種農地
    市街地の区域または市街地化の傾向が著しいところです。駅が300m以内にある等の条件が基本です。こちらは原則農地転用は可能です

農地転用が可能な農地

原則として農地転用が可能な農地は乙種第三種のみということになります。乙種第二種農地については、代替性の検討が必要ですが、これは「他にも土地を探してみたが、ここしか無理だった」ということが認められるかどうかがポイントになります。

特に太陽光発電が転用目的の場合、受光障害の有無(日照条件)、地盤の状況、送電線までの距離等、交通利便性などの要因につき選定比較表を作成して添付しなければならない場合もあります。

また、農地転用が可能な農地であっても、農地転用許可申請で許可処分がされなければ転用はできません。農地区分以外にも重要な要件があるので、これらの要件全てを満たし、所定の必要書類や資料をきちんと揃えて申請しなければなりません。

申請する農地が、地域計画区域内にある場合は(市街化区域を除く)農地転用や農振除外の手続きをする前に、地域計画の変更手続きをしなければなりません

農業振興地域の整備に関する法律
(農業振興地域整備計画の変更)
第十三条 都道府県又は市町村は、農業振興地域整備基本方針の変更若しくは農業振興地域の区域の変更により、前条第一項の規定による基礎調査の結果により又は経済事情の変動その他情勢の推移により必要が生じたときは、政令で定めるところにより、遅滞なく、農業振興地域整備計画を変更しなければならない。市町村の定めた農業振興地域整備計画が第九条第一項の規定による農業振興地域整備計画の決定により変更を必要とするに至つたときも、同様とする。
2 前項の規定による農業振興地域整備計画の変更のうち、農用地等以外の用途に供することを目的として農用地区域内の土地を農用地区域から除外するために行う農用地区域の変更は、次に掲げる要件の全てを満たす場合に限り、することができる。
一 当該農業振興地域における農用地区域以外の区域内の土地利用の状況からみて、当該変更に係る土地を農用地等以外の用途に供することが必要かつ適当であつて、農用地区域以外の区域内の土地をもつて代えることが困難であると認められること。
二 当該変更により、農用地区域内における地域計画の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
三 前号に掲げるもののほか、当該変更により、農用地区域内における農用地の集団化、農作業の効率化その他土地の農業上の効率的かつ総合的な利用に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
四 当該変更により、農用地区域内における効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農用地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
五 当該変更により、農用地区域内の第三条第三号の施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがないと認められること。
六 当該変更に係る土地が第十条第三項第二号に掲げる土地に該当する場合にあつては、当該土地が、農業に関する公共投資により得られる効用の確保を図る観点から政令で定める基準に適合していること。
3 都道府県知事は、必要があると認めるときは、市町村に対し、当該市町村の定めた農業振興地域整備計画のうち農用地利用計画について第一項の規定による変更をするための必要な措置をとるべきことを指示することができる。
4 第八条第四項及び第十一条(第十二項を除く。)の規定は市町村が行う第一項の規定による変更(政令で定める軽微な変更を除く。)について、第九条第二項及び第十一条第十二項の規定は都道府県が行う第一項の規定による変更(政令で定める軽微な変更を除く。)について、第十二条の規定は同項の規定による変更について準用する。この場合において、同条第二項中「当該農業振興地域整備計画書」とあるのは、「当該変更後の農業振興地域整備計画書」と読み替えるものとする。
5 都道府県知事は、第二項に規定する農用地区域の変更(以下この条において「除外目的変更」という。)に係る農業振興地域整備計画の変更に関する前項において準用する第八条第四項の規定による協議があつた場合において、当該除外目的変更に係る土地が集団的に存在する農用地であることその他の事由により当該除外目的変更が都道府県面積目標に影響を及ぼすおそれがあると認めるときは、同項の同意をするかどうかを判断するため、当該市町村に対し、当該影響を緩和するために当該市町村が講じようとする措置その他の農林水産省令で定める事項を記載した書面の提出を求めるものとする。
6 都道府県知事は、前項に規定する協議があつた場合において、当該協議に係る除外目的変更が、次に掲げる要件の全てを満たすと認めるときは、第四項において準用する第八条第四項の同意をするものとする。
一 除外目的変更が第二項各号に掲げる要件の全てを満たすと認められること。
二 除外目的変更が、当該都道府県における農用地等の確保の状況(前項の書面の提出を受けた場合にあつては、当該書面により把握した状況を含む。)からみてその都道府県面積目標の達成に支障を及ぼすおそれがないと認められること。

今回の記事はここまでです。

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当事務所の農地転用の業務(代表例)
  1. 農地転用5条許可申請(届出)
  2. 農地転用4条許可申請(届出)
  3. 農地法3条許可申請
  4. 農地中間管理機構の農地売買
  5. 農地の相続手続き
  6. 土地改良区の手続き
  7. 景観法届出

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