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軽貨物運送事業は届出が必要
軽貨物運送事業は手軽に開業できるため人気です。後述する要件はあるものの、車両1台から始めることができ、事務所(自宅開業でもよい)と車庫があればひとまずOKです。
近年、Amazonの配達が人気で、規制が大幅に緩和されたこともあって、とても人気があります。普通車(トラック)の運送事業には許可が必要で、要件がとても厳しく開業のハードルは高いですが、軽貨物運送事業は届出でOKです。
軽貨物運送事業は、正式には貨物軽自動車運送事業といいます。運輸支局への届出をして、軽自動車検査協会で黒ナンバー(営業ナンバー)の取得手続きをします。では、基準(要件)や手続きについて見て参りましょう。
なお、軽貨物運送事業は近年、複数回改正されており、以前の古い情報をそのまま公表しているサイトがかなりありますのでご注意ください。
軽貨物運送事業の基準
自動車に関する基準
軽貨物運送事業に使用できる車両は軽自動車(排気量660cc以下の四輪と三輪の自動車)、オートバイ(排気量125cc超えの軽二輪と小型二輪)です。
以前は貨物(4ナンバー)しか認められませんでしたので、軽乗用車を運送事業で使用するためには、貨物への構造変更手続きが必要でした。
法改正により現在では軽乗用車でも使用することができるようになっていますので、スペーシアやタントを運送に使用することができます。ただし、積載量が多い方が圧倒的に有利(=効率がよい=高収入)なので、エブリイやハイゼットのバンをおすすめします。
なお、積載可能な重量は(乗車定員ー乗車人数)×55kgとされています。軽乗用車(4人乗り)の場合は以下のようになります。
- 運転者のみの乗車⇒165kg
- 運転者+1名乗車⇒110kg
- 運転者+2名乗車⇒55kg
- 4人乗車⇒軽貨物運送事業には使用できません
普通車トラックの運送事業とは異なり、軽貨物運送事業は車両が1台以上あれば事業をすることができます。新たに車両を用意する場合は積載量と燃費(コスト意識を持ちましょう)を重要視するべきです
車庫に関する基準
車庫は原則として営業所に併設されていることが求められるものの、営業所からの距離が2km以内ならOKです。保管場所のスペースは車両1台につき8㎡とされています。
また、車庫の使用権原を有することが必要であり、都市計画法等(都市計画法上の市街化調整区域は原則不可です)に抵触しないことも求められます。これらは届出書のなかで宣誓します。
営業所・休憩施設に関する基準
乗務員が有効に利用できる施設であることが求められます。自己所有でも賃貸でも営業所と休憩スペースがあればOKですが、賃貸の場合は事業としての使用権原があることが必要です。自宅を事務所に開業ということであれば、休憩施設もあると認められます。
運行管理体制に関する基準
過積載、過労運転、点呼、指導監督などを管理する人が必要ですが、事業を行う本人(届出人)が管理者になれますので問題はないと思われます。ただし、事業に使用する車両が10台以上の場合については、整備管理者を選任・届出しなければなりません。
損害賠償能力
貨物運送に関して、事故等が発生した場合の損害賠償の支払い能力を有していることが必要です。こちらも届出書のなかで宣誓します。また、自賠責保険だけではなく、「業務用」での任意保険にも加入が必要です。
運賃料金
運賃料金を定めて、運賃料金設定届出書を提出します。国交省が用意している見本を参考にすることができますし、見本をそのまま提出をしてもかまいません。
運送約款
運送約款とは、運送契約の内容が記載されたものですが、国土交通省の標準貨物軽自動車運送約款を
使用する場合は、約款の添付は不要です。
軽貨物運送事業を開業するまでの流れ
基準をクリアできる営業所、車庫、車両などを用意する
先述した「基準」をクリアできるかを確認します。主に営業所、車庫、車両です。
貨物軽自動車安全管理者の講習受講
貨物軽自動車安全管理者とは、軽貨物運送事業者が営業所ごとに選任する者です。個人事業主自身がなる場合でも講習を受講しなければなりません。また、選任後2年ごとに定期講習を受講する必要もあります。
講習はe-ラーニングなので自宅から受講することができます。所要時間は5時間ほどかかりますが、修了証は即日発行されます。
実施機関は「独立行政書士法人自動車事故対策機構」か「ヤマト・スタッフ・サプライ株式会社」です。講習を受講し、選任したら速やかに運輸支局へ届出をしましょう
適性診断の受診
貨物軽自動車運送事業者は、以下の運転者に対して特別な指導をしなければならず、適性診断も受診しなければなりません。適性診断の受診は、滋賀県では「株式会社八日市自動車教習所」と「株式会社瀬田月輪自動車教習所」のいずれかです。
- 初任運転者(過去に一度も受診していない者)
- 65歳以上の者
- 死者または負傷者が生じた事故を起こした者
なお、受診後は貨物軽自動車運転者等台帳を作成して営業所に備え置かなければなりません。
運輸支局へ貨物軽自動車運送事業の届出
いよいよ手続きです。自動車関係の手続きは少々独特なので、ご自身で手続きをすることが面倒だったり、お時間がない場合には当事務所で代行することもできます。
貨物軽自動車運送事業を始めるにあたり、まずは運輸支局輸送課に届出をします。必要書類等は以下のとおりです。
- 貨物軽自動車運送事業経営届出書(2部)
- 運賃料金設定届出書(2部)
- 運賃料金表(2部)
- 事業用自動車等連絡書 ※1両につき1部
- 貨物軽自動車安全管理者の選任届 ※当事務所の場合、届出の際に提出します
- 車検証コピーと自動車検査証記録事項
書類等の届出形式を確認され、問題が無ければ提出した事業用自動車等連絡書に押印をしてもらい、受け取ります。これは次の軽自動車検査協会での手続きでも必要になります。
軽自動車検査協会で手続き
次に、軽自動車検査協会で、運送事業に使用する軽自動車を事業用にし、黒ナンバー(営業ナンバー)を購入する手続きをします。
車両を購入して事業に使用する場合と、所有している車両を事業に使用する場合とでは手続き内容が異なり、提出するOCRも変わります。必要書類等は以下のとおりです。
- 車検証の原本
- 事業用自動車等連絡書(運輸支局から押印して返却されたもの)
- 申請依頼書(代理申請の場合)
- 返納する旧ナンバープレート(黄色)
- OCR
- 税申告書
手続き自体の手数料は無料ですが、ナンバープレートの購入料金が必要です。
安全運転管理者の選任・届出
車両を5台以上使用する場合は安全運転管理者を選任し、選任の日から15日以内に公安委員会へ届出しなければなりません。
安全運転管理者は、20歳以上で車の運転に関して2年以上の実務経験を有する者がなれます。副安全運転管理者を選任する場合については、30歳以上です。
税務署への開業届も忘れずに
開業届を管轄の税務署に出しておきます。青色申告やインボイスの手続きも一緒にしておいた方がよいでしょう。会社員の経験しかない方も、開業すれば個人事業主となります。
事業主として法令遵守は絶対です。知りませんでしたといっても通用しないことが多々ありますので、しっかり学ばなければならないでしょう。特に税法や電帳法は必須です。
今回の記事はここまでです。
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