農地転用第5条許可とは

農地を、農地以外の目的として使用する場合は農業委員会の許可が必要です。田畑をやめて住宅を建築したり、太陽光発電施設にしたり、駐車場にしたりする場合です。

これらの場合に、その土地の所有者が変わる場合は第5条許可が必要で、所有者が変更にならない場合は第5条許可が必要です。

農地転用許可申請は、申請書はもちろん、図面の添付も必要なため、簡単ではありません。また、許認可申請(書類作成含む)を行政書士(一定の場合は一級建築士もOK)以外の者が業として行うと違法行為ですのでご注意ください。

農地転用第5条許可申請の必要書類

農地転用許可申請書

農業委員会に申請する申請書です。当事者、土地、転用目的、転用計画、資金、被害防除施設などを記載します。経験がない方は何を記載すればいいのかわからないかもしれません。

転用事由の詳細説明書

何故、その施設がその土地に必要なのか?また施設の利用計画などを記載します。詳細ですので、文章としてまとめたほうがいいと思います。この詳細説明書の作成は難易度というより、経験がモノをいいます。

農業委員会に対して口頭で説明するわけではなく、この詳細説明書で転用目的や転用計画を伝えることになるので、審査に重大な影響を及ぼす書類だといえます。

登記事項証明書

土地の登記簿謄本です。登記情報ではなく、法務局で発行される証明書の原本が必要です。

位置図

役所によって縮尺の指定が異なることがあります。役所の都市計画課などで購入できることが多いです。

役所ホームページからダウンロードできるところもあります。指定された縮尺では申請地の立地状況がわかりにくい場合は、縮尺を変えて見やすくした図面も一緒に提出することもあります。

土地利用計画図

造成の計画、施設の配置、周りの状況、排水計画などを盛り込んで作成します。他の必要書類と比べると難易度高めです。

慣れも必要ですのでご自身で作成される場合はちょっと大変かもしれません。排水などは指定の色分けで記載していきます。

農地転用は完成前の段階で許可を取るものですので、転用目的が達成できるか、そのような計画なのかを書面と図面で示す必要があるのです。

公図の写し

法務局で取得します。役所によっては公図の写しに隣接する土地の所有者氏名、地番、地積、地目などを記入して提出することもあります。長浜市の場合はこのパターンです。

隣地関係図

申請する土地に隣接した土地の地番や地目、所有者などを記載した図面です。作成するには、まず隣接地の登記情報を取得してからということになります。農地転用は許認可の中でもローカルルールが多いので、申請先によって様々です。

縦横断図

申請する土地の断面図で、南北方向と東西方向の2方向の断面図となります。高低差がある土地の場合は計測に手間がかかります。

この図面はかなりコツを要します。専門の業者に依頼するとかなりの高額になりますが、当事務所では原則として当職が作成しますので安価です。現地調査や測量の際に、最も気合が入る瞬間です。

施設の平面図、立面図、構造図

平面図はすべての転用目的で必要です。建築物があれば立面図、太陽光発電はパネルや架台、フェンスなどの構造図が必要となります。これらは建築業者さんからもらわなければなりません。

なお、無許可転用として先代が倉庫や住宅を建築している場合、建築図面が無いことがほとんどです。その場合は新たに平面図と立面図を作成しなければなりません。これも専門の業者に依頼するとかなりの高額になりますので、安価で作成するために当事務所では原則として当職が作成します。

隣地者承諾書

隣地で耕作をしている場合、所有者の承諾が必要です。(本来は承諾は不要)登記上での農地、現況での農地など各市町村によって取得しなければならない条件が異なりますので、確認してから隣地者承諾書を作成しなければなりません。

長浜市の場合、隣地者承諾書は不要ですがこれに代わる書類作成が必要です。押印取得は不要ですが、農地転用をする旨の説明は必須です。

農業委員の意見書

地元の推進委員農業委員の方に転用詳細を説明して署名・押印をいただき意見書を作成します。

この書類は各市町村によって書類名が異なったり、署名・押印をいただく方が異なったりしますので事前に確認が必要です。

工事見積書

施工がある場合、施工業者に工事見積書をいただきます。各市町村によって異なりますが、土地代・造成代・建築費の名目が区別されており、施工業者の押印がある原本が必要です。

資金証明書

金融機関の残高証明書やローン証明が必要で、工事見積書と申請書にマッチしていることが重要です。この計画をやりきる資金力がある事を証明します。

その他の必要書類

法人の場合に必要な登記簿謄本・定款、土地改良区意見書、住民票など、提出を指示された場合に必要な書類もあります。太陽光発電が転用目的の場合はさらに必要書類が増えます。

農地転用以外の必要な手続き

農地転用以外にも、関連する法令によって必要な届出や手続きが必要となる場合もあります。代表的なものとしては開発許可、農振除外、土地改良区、河川法、砂防法、景観法、遺跡関連などです。

このように農地転用は事前の要件確認にかなりの時間を要します。当事務所では現場にも何度か足を運んで調査します。

なお、太陽光発電が転用目的の場合、太陽光パネルの設置は景観法の届出が必須です。(長浜市)行政書士かわせ事務所では農地転用の申請や届出を承ります。農地の利用目的を変更したい場合や農地の売買を計画されている方はホームページをご覧頂き、お問合せ下さい。

申請する農地が、地域計画区域内にある場合は(市街化区域を除く)農地転用や農振除外の手続きをする前に、地域計画の変更手続きをしなければなりません。

農地法
(農地又は採草放牧地の転用のための権利移動の制限)
第五条 農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。次項及び第四項において同じ。)にするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 国又は都道府県等が、前条第一項第二号の農林水産省令で定める施設の用に供するため、これらの権利を取得する場合
二 農地又は採草放牧地を農地中間管理事業の推進に関する法律第十八条第七項の規定による公告があつた農用地利用集積等促進計画に定める利用目的に供するため当該農用地利用集積等促進計画の定めるところによつて同条第一項の権利が設定され、又は移転される場合
三 農地又は採草放牧地を特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画に定める利用目的に供するため当該所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第二条第三項第三号の権利が設定され、又は移転される場合
四 農地又は採草放牧地を農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画に定める利用目的に供するため当該所有権移転等促進計画の定めるところによつて同法第五条第十項の権利が設定され、又は移転される場合
五 土地収用法その他の法律によつて農地若しくは採草放牧地又はこれらに関する権利が収用され、又は使用される場合
六 前条第一項第七号に規定する市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地及び採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得する場合
七 その他農林水産省令で定める場合
2 前項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、第一号及び第二号に掲げる場合において、土地収用法第二十六条第一項の規定による告示に係る事業の用に供するため第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとするとき、第一号イに掲げる農地又は採草放牧地につき農用地利用計画において指定された用途に供するためこれらの権利を取得しようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
一 次に掲げる農地又は採草放牧地につき第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合
イ 農用地区域内にある農地又は採草放牧地
ロ イに掲げる農地又は採草放牧地以外の農地又は採草放牧地で、集団的に存在する農地又は採草放牧地その他の良好な営農条件を備えている農地又は採草放牧地として政令で定めるもの(市街化調整区域内にある政令で定める農地又は採草放牧地以外の農地又は採草放牧地にあつては、次に掲げる農地又は採草放牧地を除く。)
(1) 市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの
(2) (1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地又は採草放牧地で政令で定めるもの
二 前号イ及びロに掲げる農地(同号ロ(1)に掲げる農地を含む。)以外の農地を農地以外のものにするため第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合又は同号イ及びロに掲げる採草放牧地(同号ロ(1)に掲げる採草放牧地を含む。)以外の採草放牧地を採草放牧地以外のものにするためこれらの権利を取得しようとする場合において、申請に係る農地又は採草放牧地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき。
三 第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする者に申請に係る農地を農地以外のものにする行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにする行為を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと、申請に係る農地を農地以外のものにする行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないことその他農林水産省令で定める事由により、申請に係る農地又は採草放牧地の全てを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
四 申請に係る農地を農地以外のものにすること又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地又は採草放牧地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
五 申請に係る農地を農地以外のものにすること又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のものにすることにより、地域における効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地又は採草放牧地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の地域における農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合として政令で定める場合
六 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため所有権を取得しようとする場合
七 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため、農地につき所有権以外の第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合においてその利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき、又は採草放牧地につきこれらの権利を取得しようとする場合においてその利用に供された後にその土地が耕作の目的若しくは主として耕作若しくは養畜の事業のための採草若しくは家畜の放牧の目的に供されることが確実と認められないとき。
八 農地を採草放牧地にするため第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合において、同条第二項の規定により同条第一項の許可をすることができない場合に該当すると認められるとき。
九 認定経営発展法人から第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合(当該認定経営発展法人がその農業経営発展計画に記載する農業経営基盤強化促進法第十六条の二第二項第五号イ及びロに掲げる事項としてこれらの権利の設定又は移転について同条第一項又は同法第十六条の三第一項の認定を受けている場合を除く。)
3 第三条第六項並びに前条第二項から第五項まで及び第七項の規定は、第一項の場合について準用する。この場合において、同条第四項中「申請書が」とあるのは「申請書が、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするためこれらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得する行為であつて、」と、「農地を農地以外のものにする行為」とあるのは「農地又はその農地と併せて採草放牧地についてこれらの権利を取得するもの」と、同条第七項中「する行為」とあるのは「する行為又は申請に係る採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にする行為」と、「当該行為」とあるのは「これらの行為」と読み替えるものとする。
4 国又は都道府県等が、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得しようとする場合(第一項各号のいずれかに該当する場合を除く。)においては、国又は都道府県等と都道府県知事等との協議が成立することをもつて第一項の許可があつたものとみなす。
5 前条第九項及び第十項の規定は、都道府県知事等が前項の協議を成立させようとする場合について準用する。この場合において、同条第十項中「準用する」とあるのは、「準用する。この場合において、第四項中「申請書が」とあるのは「申請書が、農地を農地以外のものにするため又は採草放牧地を採草放牧地以外のもの(農地を除く。)にするためこれらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を取得する行為であつて、」と、「農地を農地以外のものにする行為」とあるのは「農地又はその農地と併せて採草放牧地についてこれらの権利を取得するもの」と読み替えるものとする」と読み替えるものとする。

今回の記事はここまでです。

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当事務所の農地転用の業務(代表例)
  1. 農地転用5条許可申請(届出)
  2. 農地転用4条許可申請(届出)
  3. 農地法3条許可申請
  4. 農地中間管理機構の農地売買
  5. 農地の相続手続き
  6. 土地改良区の手続き
  7. 景観法届出

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