経営業務の管理責任者(常勤役員等)とは

建設業許可の経営業務の管理責任者(常勤役員等)は、許可取得の6つの要件のひとつです。その営業所において、営業取引上で対外的に責任を有する地位にあって、建設業の経営業務について総合的に管理し、執行した経験を有した者がなれます。

つまり、経営業務の管理責任者(常勤役員等)がいないと建設業許可を取得できないということになります。建設業許可を取得した後、経営業務の管理責任者(常勤役員等)が退職すると要件を欠くことになります。

この場合は、14日以内に別の要件を満たせる方を見つけて変更届を提出しなければなりません。届出をしなければ、経営業務の管理責任者(常勤役員等)の退職日翌日をもって建設業許可は失効してしまいます。

「経営業務の管理責任者(経管)」の名称が変更になり「常勤役員等」になりました

経営業務の管理責任者(常勤役員等)の要件

経営業務の管理責任者(常勤役員等)になれるのは、個人の場合は事業主または支配人、法人の場合は常勤の役員です。

常勤であることが求められますので、他社の常勤役員等の方に掛け持ちしてもらうことは認められません。この場合、他社の方を解除してもらってからでしたら常勤要件を満たせます。

経営業務の管理責任者(常勤役員等)になれる人

一般的なものは以下のとおりですが、ほとんどの方はイ①になります。他にもロ①、ロ②、ハという区分もありますが割愛させていただきます。

  • イ①
    建設業に関して5年以上常勤役員等としての経験を有する者
  • イ②
    建設業に関して5年以上常勤役員等に準ずる地位にある者として経営業務の管理経験を有する者
  • イ③
    建設業に関して6年以上の常勤役員等に準ずる地位にある者として経営業務管理責任を補佐する業務に従事した経験を有する者

経営業務の管理責任者(常勤役員等)の要件における注意事項

常勤役員等の経験とは、業務を執行する社員、取締役、執行役、個人事業主または支配人、令第3条使用人として、営業取引上で対外的に責任を有する地位にあり、建設業の経営業務について総合的に管理した経験をいいます。

建設業許可を受けている会社で働いていても上記のような経験がないと常勤役員等の要件は満たせません。

また、法人の役員については会社法上の役員ではなく、建設業法上の役員である必要があります。業務を執行する社員、取締役、執行役又はこれらに準ずる者が法人の役員として認められますが、取締役として登記するのが無難です。

ただし、定款の役員員数等の項目は確認が必要です。執行役員、監査役、会計参与、監事は原則として認められていません。

経営業務の管理責任者(常勤役員等)の確認資料

経営業務の管理責任者(常勤役員等)の経験は、添付書類で証明し、常勤役員等証明書を作成して提出します。

常勤役員等証明書は、経営業務管理をしていた会社の代表取締役や、取引先の滋賀県知事許可業者に証明してもらって作成します。ケースによっては自己証明できることもあります。

個人事業主が経営業務の管理責任者(常勤役員等)になる場合の確認資料

イ①に該当 → 確定申告書5年分+工事実績5年分

イ③に該当 → 確定申告書6年分+工事実績6年分

法人の役員が経営業務の管理責任者(常勤役員等)になる場合の確認資料

イ①に該当 → 商業登記簿謄本5年分+工事実績5年分

イ②に該当 → 事前に監理課へ確認+工事実績5年分

イ③に該当 → 事前に監理課へ確認+工事実績6年分

確認資料の注意事項

確定申告書は第一表(法人は別表一)が必要ですが、確定申告書が無い場合は確定申告書の代わりに市町村で発行される所得証明書(課税証明書)でも対応できます。

工事実績については、年1件の工事請負契約書または発注者からの注文書(会社印あり)を年数分必要です。これらが無い場合は発注者証明書という様式があるのでこれを使用して発注者に作成してもらう必要があります(実印押印)。

商業登記簿は、履歴事項全部証明書のことですが、就任期間が確認できなければ閉鎖登記簿謄本や閉鎖事項証明書が必要になることもあります。

過去に経営業務の管理責任者だった者、令第3条使用人の経験の場合

過去の建設業許可申請書(受付印がある副本)のうち、下記の様式の写し提出+原本提示が必要です。

  1. 第1号【常勤役員等】【令3】建設業許可申請書
  2. 別紙一、二(1)、(2)【常勤役員等】【令3】役員等の一覧表、営業所一覧表
  3. 第7号および別紙【常勤役員等】常勤役員等(経管)証明書
  4. 第11号【令3】令3使用人一覧表
  5. 第12号【常勤役員等】許可申請者の調書(旧略歴書)
  6. 第13号【令3】令3使用人の調書(旧略歴書)
  7. 第20号【常勤役員等】【令3】営業の沿革

常勤性確認資料

さらに、経営業務の管理責任者(常勤役員等)は常勤である必要があるので、常勤であることを証明する資料も添付しなければなりません。常勤性確認書類のなかで健康保険証が必要となる場合は以下のとおりです。

  1. 健康保険証または後期高齢者医療被保険者証の写し(申請時点で有効なものに限定)
  2. 健康保険厚生年金保険者標準報酬額決定通知書の写し(氏名が記載されたもの)
  3. マイナンバーカードの健康保険者利用登録が有り⇒資格情報のお知らせの写し、または資格情報が確認できるマイナポータルの画面を印刷したもの
  4. マイナンバーカードの健康保険者利用登録が無し⇒資格確認証の写し

なお、上記のものと併せて直近の確定申告書等も必要です。

建設業許可取得後に建設キャリアアップシステムの申請代行も承ります。行政書士かわせ事務所は「CCUS登録行政書士」なので、申請者はシステム操作をすることなく事業者登録と技術者登録の代行申請をすることができます。

建設業法
(許可の基準)
第七条 国土交通大臣又は都道府県知事は、許可を受けようとする者が次に掲げる基準に適合していると認めるときでなければ、許可をしてはならない。
一 建設業に係る経営業務の管理を適正に行うに足りる能力を有するものとして国土交通省令で定める基準に適合する者であること。
二 その営業所ごとに、営業所技術者(建設工事の請負契約の締結及び履行の業務に関する技術上の管理をつかさどる者であつて、次のいずれかに該当する者をいう。第十一条第四項及び第二十六条の五において同じ。)を専任の者として置く者であること。
イ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)による高等学校(旧中等学校令(昭和十八年勅令第三十六号)による実業学校を含む。第二十六条の八第一項第二号ロにおいて同じ。)若しくは中等教育学校を卒業した後五年以上又は同法による大学(旧大学令(大正七年勅令第三百八十八号)による大学を含む。同号ロにおいて同じ。)若しくは高等専門学校(旧専門学校令(明治三十六年勅令第六十一号)による専門学校を含む。同号ロにおいて同じ。)を卒業した(同法による専門職大学の前期課程を修了した場合を含む。)後三年以上実務の経験を有する者で在学中に国土交通省令で定める学科を修めたもの
ロ 許可を受けようとする建設業に係る建設工事に関し十年以上実務の経験を有する者
ハ 国土交通大臣がイ又はロに掲げる者と同等以上の知識及び技術又は技能を有するものと認定した者
三 法人である場合においては当該法人又はその役員等若しくは政令で定める使用人が、個人である場合においてはその者又は政令で定める使用人が、請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないこと。
四 請負契約(第三条第一項ただし書の政令で定める軽微な建設工事に係るものを除く。)を履行するに足りる財産的基礎又は金銭的信用を有しないことが明らかな者でないこと。

今回の記事はここまでです。

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当事務所の建設業許可の業務(代表例)
  1. 建設業許可申請(新規)
  2. 建設業許可申請(更新)
  3. 業種追加の申請
  4. 決算変更届
  5. 各種変更届
  6. 建設キャリアアップシステム(CCUS)の代行申請

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