婚前契約書(夫婦財産契約書)とは

婚前契約書(夫婦財産契約書)とは、婚前契約書はその名のとおり、婚姻届出をする以前に締結をしなければ効力が発生しない書面です。

婚前契約書は、主に夫婦となる当事者双方の資産を開示し、婚姻後の特有財産、共有財産を明確にするものです。

婚前契約書(夫婦財産契約書)の作成は婚姻以前にしなければなりませんので、今から婚姻しようとしている当事者が、離婚するときのことまで考えて契約することはとても困難だと思われます。

合理的な欧米諸国では婚前契約は一般的かもしれませんが日本ではあまりなじみがありません。

よって、双方の財産(債務も含む)を開示し、また、特有財産を列挙し、共有財産については法定に従って特に記載はしないこともあり得ます。

当事務所では婚前契約書の作成を承ります。なじみがないものかもしれませんので、まずは初回無料相談をご利用いただければと思います。

無料ですが、当事務所は時間制限は設けない流儀なので気軽にお問合せください。

夫婦の財産制度

夫婦それぞれが得た財産はどちらに帰属するのか、これが夫婦の財産制度であり、夫婦別産制と包括共有制とがあります。

法定財産制として日本で採用しているのは夫婦別産制です。婚前契約書を作成する際は、いずれかを選択していただきます。それではそれぞれを見て参りましょう。

夫婦別産制とは

夫婦別産制とは、夫婦の財産の帰属は夫婦それぞれの特有財産とするという制度です。夫が得た財産は夫の物、妻が得た財産は妻の物ということです。

ところが、特有財産は婚姻期間が長くなれば夫婦の協力で維持されたとして共有財産になる恐れがあり、これを防ぐために婚前契約書(夫婦財産契約書)に特有財産とする財産を列挙して記載します。

列挙しなかった財産は共有財産とするのが夫婦別産制なので、住宅を購入した場合でも共有財産となります。

婚前契約書を作成せずに婚姻すると、法定財産制である夫婦別産制に従うことになりますが、婚前契約書に条項として記載すると、法定財産制に修正を加えることができるということです。

包括共有制とは

一方、法定の財産制度である夫婦別産制と異なる方式もあり、それが包括共有制です。包括共有制は、婚姻前から有していた財産も婚姻後に得た財産も全て丸ごと共有財産とする方式です。

よって、特有財産は個人的・仕事上での使用に供する財産のみと記載することになります。

婚姻後に相続や贈与で得た財産も共有財産となるので、文字通り包括的に全ての財産が共有財産になります。

婚前契約書に記載する条項例

婚前契約書に記載する条項例は以下のとおりです。これに当事者双方の希望を追加して作成します。

婚前契約書は財産に関する条項だけではなく、婚姻費用の分担や債務負担、離婚する場合についての養育費や財産分与についても記載できます。

・契約の成立要件
・財産開示(財産目録)
・特有財産
・共有財産(合有財産)
・婚姻費用分担
・債務負担
・婚姻関係解消
・財産分与
・慰謝料
・養育費
・面会交流
・相続

条項だけみると離婚協議書に類似しています。

婚前契約書のメリット

夫婦関係が上手くいかなくなる原因のひとつにお金の問題や家事の分担があります。

喧嘩が重なり、やがて離婚に至ったときに紛争となるのは、当事者双方の考え方や価値観が異なるため(他人なので当然)、離婚の取り決めをしようとしても合意に至らず裁判所が関与することになるのです。

婚前契約書(夫婦財産契約書)は、結婚する前から離婚のことを考えるのかとバカにする方もおられるかもしれませんが、法律家から見ると、互いに異なる考え方や価値観を契約によってすり合わせができ、共有することができるので非常に有用ともいえるのです。

婚前契約書と夫婦財産契約書

婚前契約書は夫婦財産だけではなく、その他の内容も条項にすることができます。公正証書にすることもできますが、夫婦のルールブックともいえるものなので、夫婦で所持していれば十分ともいえます。

夫婦財産契約書は作成後に登記することにより第三者への対抗力が発生します。

登記できるのは夫婦財産に関することのみで、婚姻後に変更ができないため、あまり一般的とは言えません。

第三者への対抗力が必要かと言えば、夫婦間のことなので必ずしも必要とは言えません。

民法第762条(夫婦間における財産の帰属)
夫婦の一方が婚姻前から有する財産及び婚姻中自己の名で得た財産は、その特有財産(夫婦の一方が単独で有する財産をいう。)とする。
2 夫婦のいずれに属するか明らかでない財産は、その共有に属するものと推定する。
引用元:e-Govポータル

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