面会交流とは

面会上流とは、離婚後に親権者・監護者にならなかった一方の親が、子に面会したり一緒に過ごすことです。

離婚はしていないが別居しているといった場合にでも家庭裁判所に面会交流の申立てをすることができます。

一方の親がもう一方の親に子を会わせないようにしているようなケースでも、申立てをすれば必ず認められるということではありません。

親の権利だと思われる方もいらっしゃるとは思いますが、認められる基準もやはり子の福祉なのです。

子に悪影響が生じるような場合には認められません。別居や離婚に至った理由が重要です。

暴力や薬物などをイメージしていただければわかりやすいと思いますが、親の権利より子の福祉なのです。

親権者・監護者であっても、もう一方の親に子を会わせないようにすることまではできないことが多いとされています。

面会交流の停止等

もう一方の親が、勝手に子に会ったり、連れ去ろうとしたりした場合には、面会交流の制限を家庭裁判所に申立てすることができます。

面会をしても、子が精神的に不安を感じたり悪影響が生じる場合には子が一定の年齢になるまでは面会を禁止したり、親権者・監護者が同伴して面会するといった方法もあります。

面会の際に配偶者に対して、復縁を迫ったり金銭の要求をしたりするような場合、面会交流権の濫用で家庭裁判所に面会交流の停止を申立てることもできます。

面会交流が認められないケース

  1. 著しい不行によって親権者失格とみなされる場合
  2. 支払い能力があるにも関わらず養育費を支払わない場合
  3. 子や親権者に暴力をふるったり、悪影響を及ぼす場合
  4. 子が面接交渉を望んでいるかどうか、意思を調査して判断

面会交流の取り決めをするときは

面会交流については、あまり具体的に決めすぎないことが重要です。

具体的すぎる取り決めは親権者の方が大きな損害(金銭換算して支払う)を被ることになる恐れがあります。

以下のような具体的かつ実現できない可能性が高い記載は避けましょう。

  • 頻度、時間 ⇒ 月に3回、1回あたり6時間
  • 宿泊の有無 ⇒ 宿泊、2泊以上の旅行
  • 場所 ⇒ どこで過ごすか
  • 通信手段 ⇒ 電話、メール、LINE、手紙などを認めるか
  • 誕生日 ⇒ プレゼントを認めるか
  • 学校行事 ⇒ 運動会や卒業式などの参加
  • 子の受け渡し ⇒ 面接時の受け渡し方法

離婚協議書への面会交流の記載

当事務所でも離婚協議書を作成する際には、面会交流の条項も記載します。もちろん夫婦に子がいる場合にです。

先述のようにご依頼人の希望が詳細な場合はご検討いただきます。当事務所ではシンプルな条項として記載します。

「子の福祉を重視する」旨の記載をしますが、もう少し具体的に記載してほしいとの要望がある場合は、「月に1回程度」、1回当たりの時間は、「子が4歳ぐらいまでは2~3時間、子が5歳以上であれば5~7時間ぐらい」を基準とします。

面会交流と養育費の関係

よくあるのですが「元夫が養育費を支払ってくれなくなったので今月からは子供には会わせません」というケースです。

義務を果たさない者に対してこちらも義務を果たす必要はないという考え方だと思います。気持ちはわかりますが到底認められることではありませんので注意しなければなりません。

相手方に知識があれば親権者が「悪者」にされてしまいます。

面会交流は子が親(親権者ではない方の親)と会う権利です。

子の年齢によっては自ら親に会いに行くことは不可能であり、親権者が会わせるという形式になっているだけなのです。

あくまでも面会交流は子のためにあるものだからです。

一方、養育費についても同様の考え方ができます。養育費は姿を変えると子の親に対する扶養請求権です。

子の年齢によっては、子が直接に親(親権者ではない方の親)に対して養育費を請求することは不可能であり、親権者が代わりに請求する形式になっているだけなのです。

では、このようなケースの場合はどうすればよいのでしょうか。養育費を支払わなければ面会交流は許さないというのは「自力救済」です。

ご存じのように日本では自力救済は禁止されています。自力救済が禁止されているので法によって保護を受けるのです。

具体的には養育費の支払いを家庭裁判所へ申し立てます。調停での合意もしくは審判手続きでの裁判官による決定で養育費の支払い義務が義務者に課されます。

それでも支払いがなされない場合は「強制執行」をして回収します。強制執行はいわゆる「差し押さえ」です。面会交流の場合も家庭裁判所へ申し立てます。

民法第766条(離婚後の子の監護に関する事項の定め等)
父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2 前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3 家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4 前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。
引用元:e-Govポータル

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