内容証明の書式

まず、内容証明を出す際には、郵便局から発送する紙ベースの内容証明と、パソコンで作成から発送まで出来る電子内容証明のいずれかを選択します。

紙ベースの内容証明は1枚あたり26行以内で1行あたり20文字以内というルールがあります。タテ、ヨコは不問ですが内容証明専用用紙は縦書きで販売されています。

複数ページになる場合は、契印を押して繋ぐ必要があり、細かいですが料金も割増しになります。

一方の電子内容証明は、最大で5枚までとされていますが、1枚あたりは1,584文字までOKなのでこちらの方が作成しやすいと思います。

電子内容証明ならWORD形式で作成できますので、WORDを使える方はこちらを推奨します。

文面の記載例

記載例(タイトル)

実際に記載する場合の基本です。タイトルは厳密に定められているわけではありません。むしろタイトルよりも内容を重視します。

とくにこだわりが無ければ「通知書」でよいと思います。当事務所が作成する場合でもほとんどが「通知書」のタイトルで作成しています。

記載例(宛名等)

ご自身は「当方」でよいと思います。「通知人」でもOKです。

相手方は企業宛の場合は「貴社」とします。相手方が個人の場合、男性は「貴殿」とし、女性は「貴女」とするのが一般的です。

慰謝料請求などの場合は、相手方が女性でもあえて「貴殿」とすることもあります。ビジネスマナーとは異なる部分がありますので、常日頃、取引先とメールのやり取りをしている方は少々勝手が違うと感じることもあるでしょう。

記載例(冒頭)

通常なら時候の挨拶から始めますが、内容証明はこちらの意思表示を端的に記載しなければならないので、挨拶は省略します。

「冠省」ではじめて「草々」で結ぶのが一般的です。

記載例(内容)

ご自身の意思を記載します。発生している事実を記載して、こちらの要求(請求)を記載します。

相手方が法令に違反しているときや、法令で定められている権利に基づいて意思表示をする場合は根拠となる法令を記載するとよいでしょう。

品名や製品名などがあれば記載し、必ず数量も記載しましょう。購入代金も必須です。

内容証明が到達したらすぐに返金等の対応をするよう記載します。返金については口座振込による方法になりますので、振込先口座情報も記載しておきます。

記載例(最後の宛名部分)

最後は、作成した日付け、通知人の住所と氏名、被通知人(相手方です)の住所と氏名を記載します。被通知人が法人の場合は法人名と併せて代表者氏名も記載します。

なお、紙ベースの内容証明の場合は作成した用紙を封筒に入れなければならず、この封筒にも通知人と被通知人の住所と氏名を記載することになります。

用紙に記載した住所と氏名は封筒に記載するときも全く同じにする必要がありますのでご注意願います。

クーリングオフの記載例

「当方は、令和●年●月●日に当方宅にて、貴社の従業員である■■■■■氏の勧誘により以下の商品の売買契約を結びましたが、特定商取引法9条により本通知書をもって売買契約を解除します。」

「商品名 ●●●● 数量●個 代金●●●●●円」

「つきましては、本書到達後速やかに後記銀行口座に、すでにお支払いした代金●●●●●円をお振込みください。」

といった内容になると思われます。誰の勧誘だったのか、何をどれだけいくらで購入したのかを記載して、きっぱりと「売買契約を解除します」と記載するのがポイントです。

ローンで購入した場合には、販売会社に加えてローン会社にも送付しておくと安心です。

貸金返還請求の記載例

「当方は、貴殿に対し、弁済期を令和●年●月●日と定めて、令和●年●月●日に金●●万円を貸渡しました。」

「貴殿は弁済期には必ず返済するとおっしゃっていましたが、弁済期を徒過した現在もご返済いただいておりません。」

「つきましては貸金全額の返済を要求しますので本通知書到達後●日以内に後記銀行口座宛にお振込みください。」

「期限内にお振込みが確認できないときは、法定手段を検討せざるを得ませんので、あらかじめご承知おきください。」

といった内容になると思われます。いつ、いくら貸したお金をいつまでに返してもらうはずだったのかを日付とともに記載します。

なお、貸す際に金銭消費貸借契約書を取り交わして貸金している場合には文面は変わってきます。本来は金銭消費貸借契約書を作成していることが望ましく、内容証明を送付しても「借りていない、ウソつくな」と言われたときに貸したことを証明できるか否かという話になってきます。

不貞行為の慰謝料請求の記載例

「通知人は■■■■の妻です。(続柄は必須)しかし、貴殿は■■■■が既婚者であることを知っていながら、繰り返し不貞行為に及んでいました。貴殿の行った既婚者との不貞行為は、民法709条の不法行為に該当します。」

「この不貞行為により、通知人は多大なる精神的苦痛を被っています。この精神的苦痛を金銭に換算すると、その金額は●●万円を下りません。」

「よって、通知人は、貴殿に対し、不法行為に基づく損害賠償として●●万円の支払いを請求します。つきましては本通知書到達後●日以内に、下記口座にお振込みください。」

「上記期間内に全額の支払いがない場合には、直ちに法的措置を講じる考えでおりますことを申し添えておきます。」

といった記載になると思いますが、慰謝料請求の場合は画一的な記載方法ではなく、状況や内容に合わせて文面を選択しなければなりません。

内容証明を送付しても無視されるケースが多く(実はこの間に焦って専門家へ相談に行きます)、裁判所手続きへと進むことを想定しておく必要があります。

また、記載例では「慰謝料請求のみ」です。不貞行為を原因として離婚に至り、不貞行為の相手方に慰謝料請求をするケースを想定したものです。

離婚には至らずに不貞行為を清算し、夫婦関係を継続する場合には記載例にように慰謝料請求を内容証明でするだけでは到底足りません。

このような場合は、ご自身の配偶者に誓約書を作成させた上で、不貞行為の相手方とは示談書を取り交わすことが一般的です。示談書の中で慰謝料を請求することになります。

いずれにせよ、不貞行為の慰謝料を請求する場合はまず専門家に相談することを強く推奨します。

今回の記事はここまでです。

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