事務所概要・お問合せ・報酬額など
農地法第4条・第5条について
農地を宅地や駐車場、資材置場、太陽光発電などの農地以外に変更する場合については、農業委員会の許可が必要です。
この手続きを農地転用といいます。この許可を得ずに勝手に転用したり、許可は取ったが許可どおりに転用しなかった場合は原状回復などの是正指導が行われ、違反した場合は3年以下の拘禁刑または300万円以下(法人は1億円以下)の罰金に処される場合があります。
なお、市街化区域の農地を転用する場合は許可申請ではなく届出になります。届出ですと必要書類も少なく、許可申請のように1か月以上かかることはありません。(順次受付)
申請する農地が、地域計画区域内にある場合は(市街化区域を除く)農地転用や農振除外の手続きをする前に、地域計画の変更手続きをしなければなりません。
農地法第4条と第5条の違い
農地法第4条とは
農地法第4条とは、自分名義の農地を自らが農地以外として使用するために転用する場合です。耕作をやめて太陽光発電として使用したり、農地に住宅を建築するといったような目的で使用しますが、所有者の変更がない場合の手続きです。
農地法第5条とは
農地法第5条とは、農地を農地以外の使用目的にすることですが、所有者が変わる場合の手続きです。農地をやめて宅地や太陽光発電として売買するといったようなケースです。売買だけではなく賃貸借のケースもあります。
農地転用第4条と第5条の申請者
農地転用4条の申請者
農地転用4条の申請者は申請地の所有者です。所有者の変更がない手続きが農地転用4条ですので、所有者がそのまま申請者となるわけです。
農地転用5条の申請者
農地転用5条は、所有者の変更がある手続きです。よって、申請者は旧所有者と新所有者の共同申請ということになります。申請地が共有になっており、所有者が複数名の場合はその全員です。
旧所有者が「譲渡人」となり、新所有者が「譲受人」となります。委任状にも譲渡人と譲受人の双方の記名・押印が必要となります。
また、許可が下りて農地転用許可通知書を受領しますが、その際も譲渡人用と譲受人用の2種類の通知を受けます。
農地の売買契約について
転用許可がなければ効力は生じない
農地転用で所有者が変わる場合は農地転用第5条許可申請(届出)であることは先述したとおりです。農地転用は1か月以上かかりますので、この間にも売買契約を締結することはよくあります。
売買契約は農地の所有権移転を目的としますが、転用許可を受けなければ所有権移転の効力は生じません。転用許可を得る前に売買契約を締結する場合、契約書に「農業委員会の必要な許可を得ることを条件として売買する」という旨の条項を記載します。
これは、法律的な考え方の「転用許可を得ることを売買契約効力発生の停止条件とする」ではありません。土地売買契約書の文言は法律上当然のことを条項にして当事者同士が約定したということになるからです。契約書の作成も当事務所にお任せください。
転用許可前に農地を引き渡した場合
では、農地転用許可を得る前に、売主が買主に農地を引き渡してしまった場合を考えてみましょう。もし許可申請が不許可になった場合は売主は買主に対して農地の返還を申し入れるはずです。
この場合、許可を得ていないので所有権移転の効力は発生していないということになります。よって、買主は売主に農地を返還しなければなりません。
無許可で転用してしまっている場合
いろんな理由があって無許可転用になってしまっているのだと思います。農地転用の許可が必要だとは知らずにやってしまったケースも多いです。また、先代の父が無許可転用しており、相続したケースも非常に多いです。
地目は田や畑といった農地ですが、先代が無許可転用をしている場合は、現況としては農地ではないわけで、その土地を売ろうとして不動産業者が確認して初めて地目が農地であることが判明するケースもあります。
顛末案件の農地転用
地目が農地のままでは売買できないので、農地以外の地目にしなければなりません。農地以外の地目に変更する場合は、農地転用許可証が必要になるため、結局は農地転用の許可を得るところから始めなければなりません。
このような場合、現況に地目をマッチさせるために、今から事後手続きとして農地転用許可申請をします。実務としての顛末案件といわれているものです。ただし、当然ですが農地転用の許可要件を満たさない土地、転用目的では許可が出ません。ここは要注意です。
顛末書を添付すれば許可が約束されるわけではなく、原状回復の可能性も残ります。このようなケースは経験がモノをいいますので経験豊富な当事務所にお任せいただくと円滑です。
農地法
(農地の転用の制限)
第四条 農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事(農地又は採草放牧地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に関する施策の実施状況を考慮して農林水産大臣が指定する市町村(以下「指定市町村」という。)の区域内にあつては、指定市町村の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けなければならない。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
一 次条第一項の許可に係る農地をその許可に係る目的に供する場合
二 国又は都道府県等(都道府県又は指定市町村をいう。以下同じ。)が、道路、農業用用排水施設その他の地域振興上又は農業振興上の必要性が高いと認められる施設であつて農林水産省令で定めるものの用に供するため、農地を農地以外のものにする場合
三 農地中間管理事業の推進に関する法律第十八条第七項の規定による公告があつた農用地利用集積等促進計画の定めるところによつて設定され、又は移転された同条第一項の権利に係る農地を当該農用地利用集積等促進計画に定める利用目的に供する場合
四 特定農山村地域における農林業等の活性化のための基盤整備の促進に関する法律第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて設定され、又は移転された同法第二条第三項第三号の権利に係る農地を当該所有権移転等促進計画に定める利用目的に供する場合
五 農山漁村の活性化のための定住等及び地域間交流の促進に関する法律第五条第一項の規定により作成された活性化計画(同条第四項各号に掲げる事項が記載されたものに限る。)に従つて農地を同条第二項第二号に規定する活性化事業の用に供する場合又は同法第九条第一項の規定による公告があつた所有権移転等促進計画の定めるところによつて設定され、若しくは移転された同法第五条第十項の権利に係る農地を当該所有権移転等促進計画に定める利用目的に供する場合
六 土地収用法その他の法律によつて収用し、又は使用した農地をその収用又は使用に係る目的に供する場合
七 市街化区域(都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第七条第一項の市街化区域と定められた区域(同法第二十三条第一項の規定による協議を要する場合にあつては、当該協議が調つたものに限る。)をいう。)内にある農地を、政令で定めるところによりあらかじめ農業委員会に届け出て、農地以外のものにする場合
八 その他農林水産省令で定める場合
2 前項の許可を受けようとする者は、農林水産省令で定めるところにより、農林水産省令で定める事項を記載した申請書を、農業委員会を経由して、都道府県知事等に提出しなければならない。
3 農業委員会は、前項の規定により申請書の提出があつたときは、農林水産省令で定める期間内に、当該申請書に意見を付して、都道府県知事等に送付しなければならない。
4 農業委員会は、前項の規定により意見を述べようとするとき(同項の申請書が同一の事業の目的に供するため三十アールを超える農地を農地以外のものにする行為に係るものであるときに限る。)は、あらかじめ、農業委員会等に関する法律(昭和二十六年法律第八十八号)第四十三条第一項に規定する都道府県機構(以下「都道府県機構」という。)の意見を聴かなければならない。ただし、同法第四十二条第一項の規定による都道府県知事の指定がされていない場合は、この限りでない。
5 前項に規定するもののほか、農業委員会は、第三項の規定により意見を述べるため必要があると認めるときは、都道府県機構の意見を聴くことができる。
6 第一項の許可は、次の各号のいずれかに該当する場合には、することができない。ただし、第一号及び第二号に掲げる場合において、土地収用法第二十六条第一項の規定による告示(他の法律の規定による告示又は公告で同項の規定による告示とみなされるものを含む。次条第二項において同じ。)に係る事業の用に供するため農地を農地以外のものにしようとするとき、第一号イに掲げる農地を農業振興地域の整備に関する法律第八条第四項に規定する農用地利用計画(以下単に「農用地利用計画」という。)において指定された用途に供するため農地以外のものにしようとするときその他政令で定める相当の事由があるときは、この限りでない。
一 次に掲げる農地を農地以外のものにしようとする場合
イ 農用地区域(農業振興地域の整備に関する法律第八条第二項第一号に規定する農用地区域をいう。以下同じ。)内にある農地
ロ イに掲げる農地以外の農地で、集団的に存在する農地その他の良好な営農条件を備えている農地として政令で定めるもの(市街化調整区域(都市計画法第七条第一項の市街化調整区域をいう。以下同じ。)内にある政令で定める農地以外の農地にあつては、次に掲げる農地を除く。)
(1) 市街地の区域内又は市街地化の傾向が著しい区域内にある農地で政令で定めるもの
(2) (1)の区域に近接する区域その他市街地化が見込まれる区域内にある農地で政令で定めるもの
二 前号イ及びロに掲げる農地(同号ロ(1)に掲げる農地を含む。)以外の農地を農地以外のものにしようとする場合において、申請に係る農地に代えて周辺の他の土地を供することにより当該申請に係る事業の目的を達成することができると認められるとき。
三 申請者に申請に係る農地を農地以外のものにする行為を行うために必要な資力及び信用があると認められないこと、申請に係る農地を農地以外のものにする行為の妨げとなる権利を有する者の同意を得ていないことその他農林水産省令で定める事由により、申請に係る農地の全てを住宅の用、事業の用に供する施設の用その他の当該申請に係る用途に供することが確実と認められない場合
四 申請に係る農地を農地以外のものにすることにより、土砂の流出又は崩壊その他の災害を発生させるおそれがあると認められる場合、農業用用排水施設の有する機能に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の周辺の農地に係る営農条件に支障を生ずるおそれがあると認められる場合
五 申請に係る農地を農地以外のものにすることにより、地域における効率的かつ安定的な農業経営を営む者に対する農地の利用の集積に支障を及ぼすおそれがあると認められる場合その他の地域における農地の農業上の効率的かつ総合的な利用の確保に支障を生ずるおそれがあると認められる場合として政令で定める場合
六 仮設工作物の設置その他の一時的な利用に供するため農地を農地以外のものにしようとする場合において、その利用に供された後にその土地が耕作の目的に供されることが確実と認められないとき。
7 第一項の許可は、申請に係る農地を農地以外のものにする行為が完了するまでの間において当該行為の実施状況について農業委員会を経由して都道府県知事等に報告することその他の必要な条件を付けてしなければならない。
8 国又は都道府県等が農地を農地以外のものにしようとする場合(第一項各号のいずれかに該当する場合を除く。)においては、国又は都道府県等と都道府県知事等との協議が成立することをもつて同項の許可があつたものとみなす。
9 都道府県知事等は、前項の協議を成立させようとするときは、あらかじめ、農業委員会の意見を聴かなければならない。
10 第四項及び第五項の規定は、農業委員会が前項の規定により意見を述べようとする場合について準用する。
11 第一項に規定するもののほか、指定市町村の指定及びその取消しに関し必要な事項は、政令で定める。引用元: e-Govポータル
今回の記事はここまでです。
行政書士かわせ事務所は民事・刑事の書類作成や手続き、許認可の申請や届出を承ります。ご相談・ご依頼をご希望の方はホームページをご覧いただき、お電話かWEB問合せからご予約願います。
- 農地転用5条許可申請(届出)
- 農地転用4条許可申請(届出)
- 農地法3条許可申請
- 農地中間管理機構の農地売買
- 農地の相続手続き
- 土地改良区の手続き
- 景観法届出
行政書士かわせ事務所の公式HP「農地転用」ページはこちらから
事務所概要・お問合せ・報酬額など




