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不動産売買とは
不動産売買契約は、売主が不動産を買主に移転し、買主がその代金を支払うことを約束する契約です。買主に移転されるものは主に所有権ですが、賃借権や地上権などが売買の対象となる場合もあります。
不動産売買に適用される法令は、民法の売買に関する規定のほかに、宅地建物取引業法、 農地法など様々なものがあります。
通常、不動産売買は不動産業者を介した取引になると思われますが、不動産業者を介さない場合にはきちんとした不動産売買契約書を作成しなければならず、不動産業者を介する場合であっても民法改正前の古い契約書を使用しているケースもないとはいえないので細心の注意が必要です。
不動産売買契約書の条項
不動産売買契約書に記載する主な条項と留意すべき点は以下のとおりです。本記事では、不動産業者を介さない場合に多い不動産売買のケースとして農地売買を取り上げています。
- 売買代金
- 手付金
- 農地売買の許可を停止条件とする特約
- 許可申請の協力義務
- 所有権移転登記
- 引渡し
- 売買代金の支払
- 所有権移転の時期
- 担保権等の抹消
- 公租公課の分担
- 危険負担
- 契約不適合に係る担保責任
- 契約違反による解除
- 違約金
- 遅延損害金
- 契約締結費用の負担
- 合意管轄
- 協議条項
農地売買には農地法許可が必要
農地を農地のままで売買し、所有権移転登記をするためには、農地法3条の許可を受ける必要があります。農地法3条許可申請の手続き以外にも農地中間管理機構の売買制度を利用することも考えられます。
所有権移転登記は農地法の許可が無ければできませんし、登記をしなければ第三者に対抗できないため、農地法の許可は必須です。
農地売買契約書では、農地を農地として売却し、買主が農地として使用することを明らかにするために、「農地として使用する」ことを明記しておく必要があります。
なお、農地を宅地や太陽光発電施設など農地以外に転用する目的で売買する場合には、農地法5条の許可を受ける必要があり、この手続きを農地転用といいます。当事務所は農地売買の契約書作成はもちろん、農地転用や農地法手続きもお任せいただけます。
履行の着手
改正された民法では、相手方が契約の履行に着手した後は、手付解除をすることができないと明文化されました。売買契約書を作成する際には、「履行の着手」が不明確であることに起因するトラブルを回避するために、手付解除することができる時期を「農地法第3条第1項に基づく許可申請書を提出するまでの間」と定めておくことを推奨します。
許可を条件とする記載
一定の期間内に農地法3条の許可が得られることを、売買に基づく所有権移転の効力発生の条件とすることを記載します。また、当事者を長期にわたり拘束することは不都合ですので、条件が成就しないことが確定した場合には、本契約は当然に解除される旨の定めを記載するとともに、農地法3条の許可が得られず契約解除となった場合の手付金の処理についても定めます。
双方申請主義
農地法3条許可申請は、当事者双方による双方申請主義がとられており、譲渡人(売主)と譲受人(買主)が連署して行います。農地の売主は、買主と協力して申請を行う義務を負い、買主は、売主に対して許可申請手続への協力を求める権利を有すると解されていますので、買主にも許可申請手続きへの協力義務があることを明記しておきます。
所有権移転
改正民法では、売主が買主に対し、登記・登録その他の売買の目的である権利の移転について対抗要件を備えさせる義務を負うことが明文化されました。
農地の売買を登記原因とする所有権移転登記を申請する場合、農地法3条の許可があったことを証する書面の添付が必要になりますので、許可があるまでは登記することができません。よって、許可が得られた場合に、直ちに登記手続を行う義務を負うことを定めておきます。
所有権移転の時期
不動産取引においては、買主がいつから所有者としての法的責任を負うかに関わりますので、所有権移転時期を明記することが一般的です。不動産売買においては、特約がない限り売買契約締結時に移転するのが原則です