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不動産の賃貸借契約

土地と建物のことを不動産といいます。不動産賃貸借契約とは、賃貸人が不動産を賃借人に使用収益させて、 これに対して賃借人が賃料を支払うことと、賃貸借の契約終了時に賃借した物件を返還することを約束する契約です。

不動産賃貸借契約は、民法のほかに借地借家法が適用されます。借地借家法の多くは強行規定であり賃借人に不利なものは無効とされる点に注意が必要です。

使用貸借契約とは

賃料の支払いが必要な賃貸借契約とは異なり、使用貸借契約は賃料が発生しません。したがって、建物所有を目的とする土地使用貸借は、親族間などの一定の親密な関係にある者の間で行われるケースが多くなりますが、信頼できる関係であることから契約書の取り交わしをしない場合も散見されます。

しかし、土地の権利や売買といった問題が発生したときに第三者に対しても契約内容を主張できるよう、権利関係を明確化するために作成しておくことは有益です。例えば、結婚後に、父の土地を使用貸借して住宅建築をしたのちに離婚となったケースでは財産分与の算定にも影響を及ぼす可能性があります。無償だから、親族だからといって口約束のみにしていると大きなトラブルになる危険すらあります。

土地使用貸借契約書の条項

土地使用貸借契約書に記載する主な条項と留意すべき点は以下のとおりです。

  • 使用貸借契約の成立
  • 使用目的
  • 存続期間
  • 禁止事項
  • 費用負担
  • 契約の終了等
  • 契約の解除
  • 原状回復及び明渡し
  • 期間満了に伴う建物無償譲渡
  • 借主死亡による建物死因贈与
  • 合意管轄
  • 協議条項

諾成契約

使用貸借は、従前は目的物(土地)の引渡しによって効力が生ずるとされていましたが(要物契約)、民法の改正により、合意によって効力を生ずるとされました(諾成契約)。

契約書を作成する場合も諾成契約であることを前提に、双方が錯誤することがないように記載しなければなりません。

存続期間

使用貸借において、存続期間の定めがあるときは、その期間の満了によって、契約した目的(土地)の返還義務が生じます。

存続期間を定めず、使用及び収益の目的を定めたときは、借主が当該目的に従った使用及び収益が終わった時に返還義務が生じます。親族等が契約の相手方ではない場合、存続期間を定めておくことを推奨します。

また、使用貸借は、借主の死亡によっても終了しますので、当然に権利を相続するわけではありません。

建物無償譲渡

使用貸借の終了時、借主は、借用物を受け取った後にこれに附属させた物を収去する義務があります。もっとも、土地の使用貸借が一定の親密な関係にある者の間でなされている場合、当該土地上の建物を貸主に無償で譲渡し、借主に建物の収去義務までは負わせないとすることも考えられます。

協議条項

作成する契約書に定めなかった事項や、定めた事項の解釈上の疑義が発生した場合は、誠実に協議の上で解決する旨の記載をします。協議は、双方の主張を繰り出すだけでは解決には至らないこのが多く、民法や借地借家法など不動産や契約に関する法令を基準として協議をすることが推奨されます。

 

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