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離婚訴訟とは

離婚訴訟とは、その名のとおり離婚についての裁判です。離婚訴訟で離婚する場合は裁判離婚といわれます。離婚訴訟は家庭裁判所に提起します。離婚調停とは異なり(離婚調停は相手方の住所地を管轄する家庭裁判所に申し立てます)原告または被告の住所地を管轄する家庭裁判所です。ところが、離婚訴訟は、いきなり提起することはできません。調停前置主義といって、まずは離婚調停をして不調(=まとまらずに終了)になって初めて訴訟提起できます。

なお、協議離婚と決定的に異なるのは、法定離婚原因がなければ訴訟提起はできないことです。法で定められた離婚の理由が必要です。協議離婚であれば離婚協議書を作成して離婚届を提出すればよいのですが、離婚訴訟はそうはいかないものです。

離婚訴訟の費用

離婚訴訟は裁判ですので、弁護士に委任することがほとんどだと思います。裁判費用はイメージより安価ですが、弁護士費用が高額になってしまいます。弁護士に支払う報酬額は、弁護士によって異なります。行政書士と同様に自由報酬制ですので、その弁護士が報酬額を定めます。一般的には、委任する際に着手金を支払い、望んでいた結果がでた場合は成功報酬を支払います。

成功報酬の金額は着手金と同程度であったりしますが、支払わなければならない金銭を支払わずに済んだ場合等、経済的利益を享受した場合はその金額の%で契約することも多いようです。家庭裁判所だけで決着し、スムーズな進行だとしても60万円~80万円はかかることになると思われます。さらに、反訴があった場合はさらに弁護士費用の負担が増えることもあります。

離婚訴訟にかかる日数は

離婚訴訟は判決が出るまでに1年から1年半の月日が必要です。さらに、高等裁判所、最高裁判所へ進んだ場合(日本は三審制です)はさらに長くかかることになります。離婚訴訟は長い戦いになります。訴訟というと判決というイメージが強いかもしれませんが、すべての離婚訴訟が判決で決するわけではありません。

  1. 「認諾」とは、原告側(訴えた側)の主張を被告(訴えられた側)がすべて受け入れることによって終結するものです。訴訟中に認諾できるのであれば離婚調停で離婚が決定しているはずであり、あまり多くはないと思われます。
  2. 「和解」とは、裁判上の和解によって決着することです。ある程度(1年未満であることが多いようです)の主張と反論のやり取りがすすむと、裁判官から和解勧告が出されることがあります。場合によってはこれまでの審理を考慮した和解案が提示されます。和解により判決よりも短い期間で終結させることができます。和解すると控訴することができなくなるためです。
  3. 「判決」とは、裁判官が判決によって離婚訴訟を終結させることです。不服がある場合は控訴が可能で、次は高等裁判所へ場所を移しての第2ラウンドとなり、さらに長い期間が必要です。

離婚訴訟を弁護士に委任せずにご自身で乗り切ることは可能か?離婚訴訟は準備書面で主張、反論を繰り返して進みます。どういったことを主張し、その根拠法規と証明資料を明確にしなければなりません。また、過去の判例を調べる作業も一般の方では困難でしょう。訴訟当事者の一方が弁護士に委任すれば反射的にもう一方も弁護士に委任することになると思われます。当事者双方が本人訴訟で対応することは珍しいといえるのではないでしょうか。

有責配偶者からの離婚請求

有責配偶者からの離婚請求は原則認められない

離婚原因を作った側、この人を有責配偶者といいますが、有責配偶者からの離婚請求は原則、認められません。しかしながら、原則があれば例外もあるのが法律の世界です。例外とは、事実上婚姻生活が破綻しているのに、このまま婚姻を継続させるほうが不自然な場合、一定の条件を満たしていることで有責配偶者からの離婚請求を認める場合があります。

欧米諸国ではずいぶん前からこの「破綻主義」が主流であり、婚姻破綻しているのに夫婦を継続させる方がおかしいと考えられています。有責配偶者からの離婚請求は、個別具体的な諸事情を勘案されますが、以下の条件は非常に重要です。

1.別居期間が同居期間と比較して相当期間長い
2.未成熟の子がいない(未成年ではありません)
3.離婚請求された側が精神的・社会的・経済的に過酷な状況におかれない

別居5年で離婚は成立するのか

先述した破綻主義という考え方は、夫婦関係が破綻している状況を優先して考慮するものです。平成8年の法制審議会が法務大臣に対して答申しているの内容が、別居5年で離婚を認める旨を法定離婚原因の条文に盛り込んでしまおうということだったのですが、未だに法改正は行われていません。

結論としては、「別居5年で離婚できるか?」と聞かれたら、現在の法律ではその定めは無いというのが正解でしょう。しかし、判例では、夫婦関係の破綻と認定する際の別居期間が短くなってきているという事実もありますし、婚姻してからの同居年数に比して別居の年数はどうなのかと判断されることも多いため一概に別居年数だけでは判断されないことが多い現実もあります。

上記はあくまでも有責配偶者からの離婚請求の場合であり、通常の離婚請求の場合はもっと短い別居期間でよいとされることがあります。実務的には3年がひとつのラインと考えることができるようです。なお、別居をされる場合は出来る限り別居に関する合意書を作成しておくことを推奨します。

審判離婚とは

もうひとつ、審判離婚という方式もあります。審判は裁判所が離婚の決定を下すものですが、当事者が審判の告知を受けてから2週間以内に異議申し立てをした場合、審判の効力が失われます。実際は審判離婚は、ほとんど利用されていませんので当事務所でも審判離婚については割愛しています。