相続はいろんな士業が関わる

士業とは国家資格で「〇〇士」と名の付く資格者で、日本では8つあることから8士業と言われます。当事務所もそのうちのひとつである行政書士です。これら士業はそれぞれ独占業務を中心に管轄の業務をしており、言ってみれば「縄張り」みたいなものです。相続は弁護士、司法書士、行政書士、税理士が業としており、これらの法律系事務所が「相続承ります」と看板を掲げています。

相続における各士業の役割

では、各士業の相続業務の扱いをみていきましょう。弁護士の主な業務は「訴訟」です。相続で紛争になり、調停や裁判の代理を依頼するなら弁護士です。司法書士の主な業務は登記です。遺産に土地や建物といった不動産がある場合は相続人への相続登記をすることになります。相続登記を依頼するなら司法書士です。

行政書士の主な業務は書類作成です。相続手続きに必要な遺産分割協議書、相続関係説明図、法定相続情報一覧図、遺産目録などの書類を作成します。相続に必要な書類作成を依頼するなら行政書士です。税理士の主な業務は税申告です。ほとんどの方は相続税は課税されませんが、遺産が多く相続税申告を依頼するなら税理士です。

相続の相談が早い方がいい理由

相続で注意をしなければならないのは、手続きに期限があるものがあることです。最も危険なことは「相続の選択は3か月以内」ということでしょう。相続放棄をするのか否か、3か月以内ですし、この間に遺産の一部を使って(処分行為)しまうともはや相続放棄はできません。もし亡くなった方が多大な借金をしていれば大変なことになってしまいます。

また、相続人に未成年がおられる場合や、自筆証書遺言がある場合の相続手続きは家庭裁判所に申立てをしなければなりませんので通常よりも時間がかかってしまいます。まずは相続手続きは何をしなければならないのかを知る必要があるので、相続の相談は早い方がいいのです。

一般的な相続手続の流れ

一般的な相続手続きの流れもご紹介しておきます。相続手続きはケースバイケースですので、まずは相続のご相談を推奨します。

(1)遺言書の有無を確認

まず、遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合と無い場合では、相続手続きの内容が異なるからです。遺言書があれば、遺言書に記載のとおりに遺産分割をすればよいのですが、遺言書が無い場合は遺産分割協議を経て遺産分割しなければなりません。以下の流れは、遺言書が無い場合についての記述となります。

(2)遺産目録の作成

遺産を確認します。被相続人に属する財産を調べます。現金、預貯金、有価証券、貴金属、車両、ゴルフ会員権、書画骨董などですが、債務などのマイナス財産も承継するため、注意が必要です。マイナス財産超過で相続してしまうと大きな損害を被るケースもあります。このような場合には相続放棄をすることをおすすめします。

相続開始時から3か月以内に、相続するのか、相続放棄をするのかを決めなければなりません。これは熟慮期間といわれています。なお、相続放棄をした人は最初から相続人ではなかったことになりますので、相続順位が繰り上がることもありますので要注意です。

調べ上げた遺産は遺産目録を作成すると遺産分割協議も円滑です。なお、遺産の総額によっては相続税がかかる場合もあります。この場合、相続税も考慮した遺産分割方法にした方がよいと思います。相続税申告は10か月以内にしなければなりません。

(3)相続人の確認

法定相続人をまず確認します。相続人の範囲と順位、相続放棄等の有無を確認し、戸籍謄本等を確認して相続人を確定させます。前述の相続税がかかるかどうかの確認の際にも相続人の人数は重要です。

(4)法定相続情報一覧図の作成

被相続人と相続人の関係を説明づける書類が相続関係説明図です。また、遺産を分割する際には各金融機関などでは戸籍謄本を添付して手続きすることになります。金融機関が一か所ならいいですが、複数ある場合は手続きに長い期間が必要となってしまいます。そこで、法定相続情報一覧図の作成をおすすめします。これは、被相続人の戸籍謄本等を法務局で一覧図にする手続きです。相続手続きに必要な戸籍謄本等とは、出生から死亡までの連続した戸籍謄本等です。

戸籍謄本等は、ほとんどの場合で束のようになります。これが一枚の書類になり、希望枚数を作成できますので、同時に複数の金融機関等で相続の手続きをすることが可能になります。

(5)遺産分割協議

相続人全員で遺産分割協議を行います。必ず相続人全員で協議しなければなりません。印鑑証明書や戸籍謄本など、相続人の各々にも必要な書類があります。遺産分割協議で、遺産の分割方法を決めます。「誰に・何を・どれだけ」分割するかです。そもそも、被相続人の財産は、被相続人の死亡時(=相続開始の時期)には相続人の共有となります。共有なので相続人のうちの誰かが勝手に処分できないのです。この共有状態の財産を遺産分割することによって所有者を確定させるのです。

遺産分割の結果を証するために、遺産分割協議書を作成します。相続人全員の署名・実印押印をした書類になります。遺産分割協議書は、金融機関等での相続手続きの際にも必要となります。

(6)各種名義変更等の手続き

被相続人の財産を相続人の財産にするため、(遺産分割)名義変更や解約などの手続きを行います。土地や建物といった不動産については相続登記をしなければなりません。現金や動産関係は渡せば完了ですが、金融資産や不動産、自動車などのように名義があるものは変更しなければならないのです。

民法第899条
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。
引用元:e-Govポータル

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