事務所概要、アクセス、報酬額、お問合せなどは行政書士かわせ事務所の公式ホームページへ
請負とは
請負とは、請負人が仕事を完成することを約束し、注文者がその仕事の結果に対して報酬を支払うことを約束する契約です。請負人は、仕事の完成義務を負い、完成した目的物の引渡しをする義務を負います。
当記事に挙げるような建築請負では、工事期間が長期にわたる場合があり、色々な事情によって工事内容の変更が行われることが少なくありません。よって、条件変更に関する定めについても出来る限り規定しておくことが重要です。
個人宅向け建設工事契約書の作成
建物建築工事請負契約書は、施主が個人である住宅等の工事を請け負うときなどに作成します。大きな建築工事の場合には、国土交通省の建設工事標準請負契約約款を使用することが多いと思われますが、建設工事標準請負契約約款は施主を保護するあまり請負人には不利であることもあります。
そこで、建設業法に対応しながら必要な条項をまとめ、請負人が不利になりすぎない内容で契約書を作成することは、特に個人事業主が請負人の場合は非常に有用です。これらをできるだけコンパクトにまとめて作成することを推奨します。
その理由は、契約書に記載されている内容を請負人がわからないということがあってはならないからです。工事について何か問題が発生した場合に、施主との間でトラブルになる可能性もあります。契約書は双方の権利と義務を明確にするものであり、問題の解決に役立つものでもあります。
契約書の取り交しは義務
請負工事契約書の締結は建設業法で義務付けられており、コンプライアンスや施主に対する安心度向上のためではなく、自身を守るためのものでもあります。建設業許可に係る申請の際には、請負工事契約書の提出を求められることがあります。
建物建築工事請負契約書の条項
建物建築工事請負契約書に記載する主な条項と留意すべき点は以下のとおりです。
- 工事の内容
- 請負代金・支払方法
- 工事着手、完成及び引渡しの時期
- 設計・施工条件の疑義
- 損害の防止
- 第三者への損害
- 施工一般の損害
- 完成・検査請求・支払・引渡し
- 担保責任
- 工事の変更等
- 履行遅滞・違約金
- 中止権・解除権
- 解除に伴う措置
- 損害賠償
- 合意管轄
- 協議条項
- 反社条項
第三者への損害について
請負工事により第三者に損害を与えた場合、請負人が賠償責任を負うのが原則ですが、注文者に帰責事由がある場合の損害等については、注文者の負担とすることもできます。
施工一般について生じた損害については、原則どおり請負人の負担とした上で、注文者の負担とする場合についての記載をします。
重要な担保責任
従来は瑕疵担保責任として扱っていましたが、民法改正により契約不適合の場合の担保責任となっています。契約不適合の場合の担保責任として注文者は、①修補等の追完請求、②損害賠償請求、③契約の解除、④代金減額請求ができる規定がおかれています。
また、土地の工作物の担保責任については、請負人が引渡しから5年又は10年間担保責任を負う規定でしたが、改正により廃止され、担保責任の期間制限に関しては注文者が契約不適合を知った時から1年以内にその旨を請負人に通知しないときは、注文者は当該契約不適合を理由として、先述の①~④をすることができないと規定されています。