飲食店営業許可は承継できるか?

通常、個人に対して与えられる許可はその個人がお亡くなりになったり、要件欠格に該当することにより失われることが少なくありません。

このように許可がなくなると営業することができなくなり、新たに許可を取得しなければならないことになってしまいます。

しかし、飲食店営業許可については相続、譲渡、法人の合併や分割による承継が認められています。当記事では飲食店営業許可の相続を例にして承継の手続きをご紹介します。

飲食店営業許可の相続による承継

飲食店営業許可の名義人であった営業者が死亡することによって、相続人のひとりが新たに営業者となり許可を承継する場合をご紹介します。

飲食店営業許可の承継の必要書類

地位承継届

令和3年5月31日までの許可(更新含む)は旧法の様式、同年6月1日以降の許可(更新含む)は新法の様式となり、届出の様式が異なります。譲渡、相続、合併など承継の事由に応じて記載します。

戸籍謄本等

戸籍謄本等は被相続人の出生から死亡までの連続したものが必要です。これによって新たに営業者となる方が、営業者の相続人であることを証明します。

営業者がお亡くなりになられているので、飲食店営業許可のみならず、現預金や不動産の相続手続きが行われているはずですので、戸籍謄本等はすでにお持ちである可能性が高いです。

当事務所で推奨するのは、法定相続情報一覧図を使用することです。この書類は法務局でさくせいしてもらうもので、戸籍謄本等の束が1枚になり、何枚でも無料です。

営業者相続同意書

新たに営業者となる方が飲食店営業許可を承継することにつき、相続人全員が同意した旨を証明する書類です。相続人全員の分が必要であり、戸籍謄本等や法定相続情報一覧図によって証明した相続人全員の同意が必須だということです。

営業許可申請書・営業届(変更)

この書類は、食品衛生責任者が変わる場合に必要です。食品衛生責任者としての資格を証するものを添付しなければなりません。

ご夫婦で飲食店を営まれている場合、ご夫婦ともに食品衛生責任者になれる資格を有する場合、ご主人を店主であり食品衛生責任者として届出をしているケースが多いと思われます。

ご主人がお亡くなりになっても、奥様が食品衛生責任者として承継届出をすれば途切れることなく円滑に営業を継続することができます。

このように食品衛生責任者になれる資格は店主だけではなく、ともに営業する相続人の方も事前に取得しておくことを強く推奨します。

なお、食品衛生責任者になれる資格は以下のとおりです。

  1. 栄養士
  2. 調理師
  3. 製菓衛生士
  4. 食鳥処理衛生管理者
  5. 船舶料理士
  6. 食品衛生責任者養成講習の修了

※飲食店営業許可を新規で取得する場合についてはこちらをご覧ください。

飲食店営業許可の相続による承継届

必要書類等を管轄の保健所に提出します。必要な部数は1部ですが、1部だけを提出してしまうと手元に控えが何も残りません。

営業許可証も営業者が変わるからといって新たに発行されるわけではありません。そこで、コピーも一緒に持参して届出し、受領印を押してもらうようにしましょう。

他の許認可で営業許可証を提出しなければならないときは、営業許可証明書を発行してもらえばOKです。承継手続き自体には法定手数料はかかりませんが、営業許可証明書は手数料が必要です。

消防法の届出もお忘れなく

むしろ営業許可よりも大切なものが消防法の届出です。有事の際のことを思い浮かべれば、ご自身で責任を取り切れないことがわかると思います。

必要な届出は業種・業態や規模により異なりますが、防火対象物使用開始届、防火管理者選任届出、消防計画作成届出についてはほとんどのケースで届出が必要です。

今回の記事はここまでです。

行政書士かわせ事務所は民事・刑事の書類作成や手続き、許認可の申請や届出を承ります。ご相談・ご依頼をご希望の方はホームページをご覧いただき、お電話かWEB問合せからご予約願います。

当事務所の営業許可の業務(代表例)
  1. 飲食店営業許可
  2. 古物商許可
  3. 解体工事業登録
  4. 電気工事業者登録
  5. 金属屑商申請・金属屑行商届出
  6. 土地売買等届出
  7. HACCP導入サポート
  8. 軽貨物運送事業の届出

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