相続手続きとは遺産分割の様々な手続き

相続手続きとは、被相続人(お亡くなりになった方)に属する遺産を相続人へ分割する様々な手続きのことをいいます。相続の開始は被相続人の死亡時です。被相続人がお亡くなりになると、遺産は相続人の共有になります。わかりやすく言えば、被相続人の遺産は相続人全員のものということになります。

遺言書がない場合の相続手続きは、相続人全員で遺産分割協議をして、「誰が、何を、どれだけ取得するか」決めることになります。そして、遺産分割協議の結果に従って遺産を分割します。預貯金や不動産、有価証券、自動車など「名義」があるものについては被相続人の名義から取得する相続人の名義に変更する必要があります。相続手続きは、被相続人の死亡に始まり、遺産分割の手続きがゴールといえます。

では、遺産分割協議が円滑に終わったとして、遺産分割の各種手続きをするだけでよいのかといえば、必ずしもそうではありません。遺産が少なかったり相続人が1名ないし2名だけであれば粛々と手続きをすればいいのかもしれません。しかしながらそうではない場合に、例えば、相続人も知らない子が存在していた、相続人も知らない多額の借金があったというようなケースもあります。

次は、実際に当事務所で相続手続きを受任した際の、一般的な相続手続きの流れをご紹介します。

 一般的な相続手続の流れ

ご相談・ヒアリング

当事務所では、ご依頼人の相続手続きに必要な書類だけを作成します。「相続手続一式」ではどんな手続きにいくらかかっているのかがわからないからです。不要な手続に関しては費用が発生しないため無駄な出費を抑えることもできます。

状況をヒアリングし、手続きの流れや必要な事項をお伝えします。そして必要な書類作成と手続きだけを選択した報酬額を御見積りいたします。

遺言書の有無を確認

まず、遺言書の有無を確認します。遺言書がある場合と無い場合では、相続手続きの内容が異なるからです。お仏壇や金庫を探していただければと思います。公正証書遺言を作成されていれば公証役場で遺言書の存在を検索することもできます。

遺言書があれば、遺言書に記載のとおりに遺産分割をすればよいのですが、遺言書が無い場合は遺産分割協議を経て遺産分割しなければなりません。実際には遺言書を作成されていれば最も近しい相続人にその存在を伝えていることがほとんどだと思われます。

以下の流れは、遺言書が無い場合についての記述となります。

遺産目録の作成

遺産を確認します。遺産とは被相続人に属する財産のすべてです。現金、預貯金、有価証券、貴金属、車両、ゴルフ会員権、書画骨董などですが、債務などのマイナス財産も承継するため、注意が必要です。債務で最たるものは借金です。特に会社を経営していた方や事業主だった方は借金があることがすくなくありません。

多額の借金があるケースで、相続放棄をしなければ借金も相続することになります。相続開始時から3か月以内に、相続するのか、相続放棄をするのかを決めなければなりません。これは熟慮期間といわれています。なお、相続放棄をした人は最初から相続人ではなかったことになりますので、相続順位が繰り上がることもありますので要注意です。

調べ上げた遺産は遺産目録を作成すると遺産分割協議も円滑です。なお、遺産の総額によっては相続税がかかる場合もあります。この場合、相続税も考慮した分割方法にした方がよいと思います。相続税申告は10か月以内にしなければなりませんが、この場合は税理士に委任することになるでしょう。

相続人の確認

法定相続人をまず確認します。相続人の範囲と順位、相続放棄等の有無を確認し、戸籍謄本等を取得して、被相続人の死亡時から出生までを遡って確認していきます。場合によっては相続人の戸籍謄本等も確認しなければならないこともあります。特に被相続人の死亡よりも以前に相続人でお亡くなりになった方がおられる場合には注意が必要です。相続人もはるか昔にお亡くなりになっていることが記憶から抜け落ちて、現状でご存命の方のみを相続人だと考えることが意外にも多いのです。

もし、このようなケースで、被相続人死亡以前にお亡くなりになっていた相続人に子がおられる場合、その子が相続人なのです。これは代襲相続といわれるものです。この代襲相続人である方を除いた遺産分割協議は無効となります。

このように戸籍謄本等で確認して相続人を確定させます。なお、先述の相続税がかかるかどうかの確認の際にも相続人の人数は重要です。

相続関係説明図、法定相続情報一覧図の作成

被相続人と相続人の関係を説明づける書類が相続関係説明図です。また、遺産を分割する際には各金融機関などでは戸籍謄本を添付して手続きすることになります。金融機関が一か所ならいいですが、複数ある場合は手続きに長い期間が必要となってしまいます。

そこで、法定相続情報一覧図の作成をおすすめします。これは、被相続人の戸籍謄本等を法務局で一覧図にする手続きです。相続手続きに必要な戸籍謄本等とは、出生から死亡までの連続した戸籍謄本等です。戸籍謄本等は、ほとんどの場合で束のようになります。これが一枚の書類になり、希望枚数を作成できますので、同時に複数の金融機関等で相続の手続きをすることが可能になります。

遺産分割協議

ここまでで遺産と相続人の確定が出来ました。そしてここからは、いよいよ相続人全員で遺産分割協議を行います。必ず相続人全員で協議しなければなりません。印鑑証明書や戸籍謄本など、相続人の各々にも必要な書類があります。また、相続人に未成年者が含まれるときは、その未成年者が遺産分割協議に参加することはできず、その未成年者の法定代理人(ほとんどの場合は親)も遺産分割協議には参加できません。詳しくは関連記事をご覧下さい。

遺産分割協議では遺産の分割方法を決めます。遺産分割協議は相続人間で協議しますが、基準となるのは法定相続分です。現代でも「長男が全部相続する、長女は嫁いでいるのだから対象外」とおっしゃられる方がおられます。相続人には法律で定められた相続する権利があります。

遺産分割協議が整えば、遺産分割の結果を証するために、遺産分割協議書を作成します。相続人全員の署名・実印押印をした書類になります。遺産分割協議書は、金融機関等での相続の手続きの際にも必要となります。遺産分割協議書は最も重要な書類ともいえますし実際に遺産分割の手続きにも必要となりますが、少々独特な書類です。当事務所では遺産分割協議書のみの作成も承ります。

なお、遺産分割協議が整わない場合は家庭裁判所に申立てをすることができます。

各種名義変更等の手続き

金融機関等で、被相続人の財産を相続人の財産にするため、名義変更や解約などの手続きを行います。土地や建物といった不動産については相続登記をしなければなりません。現金や動産関係は渡せば完了ですが、金融資産や不動産、車両などのように名義があるものは変更しなければならないのです。登記については司法書士の業務管轄です。登記もご自身でできないことはありませんが、法務局に何度も足を運んで手続きをすることになると思われます。

民法第907条(遺産の分割の協議又は審判)
共同相続人は、次条第一項の規定により被相続人が遺言で禁じた場合又は同条第二項の規定により分割をしない旨の契約をした場合を除き、いつでも、その協議で、遺産の全部又は一部の分割をすることができる。
2 遺産の分割について、共同相続人間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、各共同相続人は、その全部又は一部の分割を家庭裁判所に請求することができる。ただし、遺産の一部を分割することにより他の共同相続人の利益を害するおそれがある場合におけるその一部の分割については、この限りでない。
引用元:e-Govポータル

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