婚約解消の合意書を作成する

婚約を解消するときには、契約書スタイル(甲乙)で合意書を作成します。

婚約した場合は金銭支払いや物品受領が発生しているため、これらの返還に関する条項を記載することが一般的です。

また、当事者のみならず親御さんが関係してくるため、関係解消後の紛争予防といった目的も含みます。

結納金や指輪の返還は一般的だといえますが、損害賠償については双方で合意できた金額を記載します。

協議できない状況の場合は家庭裁判所へ申立てをして、まずは調停で解決を図ることになります。

婚約解消の合意書に記載する条項は以下のとおりですが、当事者の希望により追加する条項も含めることが可能です。

清算条項については一番最後に条項として記載しますが、これは当事者お互いのためでもある最も重要な条項といえます。

・結納金の返還
・婚約指輪の返還
・損害賠償
・清算条項

婚約履行は可能か

婚約履行は可能でしょうか?婚約を破棄された側から、家庭裁判所へ「婚約履行」の申立てをするケースについて考えてみましょう。

調停は当事者間で合意できるか否かなので決定権は申立人と相手方の双方にあります。

訴訟となって、裁判所が婚約履行の決定を下すことは現実的ではありません。婚姻は身分行為であり、とても重要な事象だからです。

いくら裁判所とはいえ、婚姻の意思が無い者を法律の力で婚姻させることはできないとお考え下さい。

これと似た案件で、婚姻中の夫婦が別居することはありますが、この場合も裁判所が同居をする旨の決定をすることはほとんどありません。

婚約不履行の損害賠償

先述のとおり、婚約履行はほぼ不可能ということになり、婚約を破棄された側としては自身が受けた損害を賠償してもらうしかない状況になります。

損害賠償については、結婚式場や新婚旅行の費用といった物品的な損害に加えて精神的な損害を金銭で請求することになります。

婚約を破棄した側が損害賠償金支払うことを拒否し、調停も不調で終わり、訴訟になった際には、損害賠償を請求する側が立証責任を負うので注意が必要です。

このような紛争を避けるべく、当事者は(親御さんも含む)冷静に協議しなければなりません。権利と義務を明確にし、法外な要求や主張は紛争となる可能性が高くなるので注意が必要です。

婚約していることの証明

当事者双方が婚約状態であることを認めていれば何の問題もありませんが、婚約を破棄した側から「そもそも婚約していない」といわれる可能性もあります。

婚約していないのであれば、結婚を前提とはしていない男女関係だったということになって、義務がかなり軽減されることになります。

まずは、婚約してることを証明できる資料の有無を検討する必要があります。

婚約指輪や結納、結婚式場を下見した証拠といった明確なものがあればよいのですが、決定的な物品等が無い場合はメールやLINEのやり取りなどを確認していきましょう。

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