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年金分割とは
年金分割とは、離婚した場合に、年金額の多い人から少ない人へ婚姻期間に応じて年金を分けるということです。ここで、「年金を分ける」と書きましたが、正確には支給される年金額を分けるということではなく、婚姻期間中であった厚生年金保険料の納付記録を分けるということです。
離婚してすぐに年金額の半分をもらえるのはないか、または、将来に元夫が受け取る年金の半額をもらえるのではないか、など勘違いが非常に多い制度です
年金分割は離婚後に手続きをします。その際には年金番号を伝えるとより具体的に相談できると思います。離婚をする前にも問合せをすることをおすすめします。
年金の仕組みから年金分割をみてみる
まず、年金の被保険者は自営業か会社員かで区分けされています。
1.第一号被保険者 ⇒ 自営業者等
2.第二号被保険者 ⇒ 会社員や公務員等
3.第三号被保険者 ⇒ 第二号被保険者の被扶養配偶者等
年金の仕組みとしては、1階部分は国民年金で、基礎年金ですので全員加入です。自営業の方は国民年金のみですので、1階部分だけということになります。
2階部分は、第一号被保険者つまり自営業者等は国民年金基金であり、第二号被保険者つまり会社員・公務員等は厚生年金(共済年金)です。3階部分は第二号被保険者の厚生年金基金等です。これらのうち、年金分割する部分は2階建て部分である厚生年金と共済年金ということになります。
年金分割をすると
分割をした人
自身の、厚生年金の保険料納付記録から、相手方に分割した記録を除いた残りの記録部分に基づいて年金額が支給されるようになります。
本来もらえるはずの年金は減ってしまうことになります。先述したように厚生年金部分だけですので加入月数が少なければ、思ったよりも少額になります。
分割を受けた人
分割を受けた分だけ、自身の年金にプラスして支給されます。受け取れるのは自身が年金を受給できる年齢に達してからです。
もちろん自身が年金を受給できる要件を満たしていないと分割はできません。原則として、保険料納付済み期間が25年以上です。
年金分割は2種類ある
年金分割の分割方法には2通りあります。合意分割と3号分割です。それぞれについて簡単ではありますがご紹介します。
合意分割
平成19年4月1日以降にした離婚で、婚姻期間のすべてが対象期間です。按分割合は当事者間の合意が必要です。按分割合は上限は0.5、下限は0.4と定められています。
まとまらなければ家庭裁判所に申し立てて調停で決めることになります。按分割合が裁判所で決まる場合、限りなく100%に近い割合で0.5です。
3号分割
こちらは、平成20年5月1日以降に離婚した場合、第3号被保険者であった期間について、被扶養配偶者として第3号被保険者であった者の請求で、自動的に0.5で分割することができるという制度です。
離婚協議書に年金分割の条項を記載する
協議離婚の場合、離婚届を提出する前に離婚協議書を作成することが一般的です。財産分与や養育費など、様々な離婚に関する取り決め事項を書面にします。
年金分割についても、離婚協議書に記載します。その記載内容は、夫婦で合意した按分割合ですが、ほとんどの場合で0.5です。
では、年金分割をしない旨の記載は法的に有効なのでしょうか?結果から言いますと、有効です。有効になるポイントとしては、きちんと条項にして年金分割はしない旨を記載することです。年金分割をしない約束だからと言って何も記載せずに、最後に記載した清算条項でいいだろうと考えるのは間違いです。
3号分割には影響しない
離婚協議書に、年金分割をしない旨の記載をすることは有効だと記述しましたが、注意すべき点は、有効になるのは合意分割のみということです。
そもそも3号分割を請求する場合に、元配偶者の承諾などは一切不要で自分が単独で手続きをすることができるからです。
よって、年金分割をしない旨の条項がある離婚協議書があったとしても、3号分割については通常通りに請求することができます。
今回の記事はここまでです。
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