令和6年民法改正 離婚後の子の利益を確保する法律

令和6年(2024年)5月24日に、夫婦が離婚した後の子の利益を確保することを目的とした改正法が交付されました。この法律は、令和8年(2026年)5月24日までに施行されます。

この法改正では、子を養育する親の責務を明確化するとともに、親権・養育費・親子交流(面会交流)・財産分与などに関する法律の規定を大幅に見直しています。

親子交流の試行的実施

協議離婚の場合でも家庭裁判所の手続きでも、親子交流(面会交流)は子の利益を最優先に考慮して定めます。家庭裁判所の手続きでは、適切な親子交流を実現するため、資料を収集して調査をしたり、父母との間で様々な調整をします。

このような調査や調整に当たっては、手続中に親子交流を試行的に実施し、その状況や結果を把握することが望ましい場合があります。そこで、今回の改正では、親子交流の試行的実施に関する制度を設けています。その具体的な手続きは次のとおりです。

  1. 家庭裁判所は、子の心身の状況に照らして相当であるかどうかや、調査の必要性などを考慮して、親子交流の試行的実施を促すか否かを検討します
  2. 1の検討を踏まえ、当事者に対して、親子交流の試行的実施を促します。家庭裁判所は、実施の条件(日時・場所・方法等)を決めたり、約束事項等を定めることができます
  3. 当事者は、家庭裁判所からの促しに応じて、親子交流を試行的に実施します
  4. 試行的実施の状況や結果は、家庭裁判所調査官による調査や、当事者である父母自身による報告を通じて、家庭裁判所と父母との間で共有されます
  5. 家庭裁判所は、4の結果を踏まえ、調停の成立や審判に向けて、必要に応じて更に調査や調整を行います

別居の場合の親子交流

これまでは別居の場合の親子交流に関する規定がありませんでしたが、今回の改正では、別居の場合の親子交流について、次のようなルールを明らかにしています。

  1. 婚姻中別居の場合の親子交流については父母の協議により定める
  2. 協議が成立しない場合には、家庭裁判所の審判等により定める
  3. 1や2に当たっては、こどもの利益を最優先に考慮する

当事務所で別居に関する合意書を作成する場合、希望により親子交流についても記載することがありました。離婚か別居かに関わらず、子の利益を考慮した結果です。

祖父母との親子交流

従来の民法には父母以外の親族(祖父母など)と子との親子交流に関する規定はありませんでした。しかし、親子関係に準ずるような親密な関係があったような場合には、父母の離婚後も、交流を継続することが子にとって望ましい場合があります。

今回の改正では、子の利益のため特に必要があるときは、家庭裁判所は、父母以外の親族と子との親子交流を実施するよう定めることができることとしています。

また、子が父母以外の親族と親子交流をするかどうかを決めるのは、原則として父母ですが、例えば、父母の一方が死亡した場合など、ほかに適当な方法がないときは、以下に挙げた親族が自ら家庭裁判所に申立てをすることができるようになります。

  1. 祖父母
  2. 兄弟姉妹
  3. 1と2以外で過去に子を監護していた親族

子と祖父母との親子交流は、祖父母のためのみならず、子にとっても非常に有意義だと考えられます

親子交流の試行的実施に関する留意事項

親子交流の試行的実施をしなかったときは、当事者は、家庭裁判所からの求めに応じて、その理由を説明しなければなりません。家庭裁判所は、当事者からの説明を踏まえて、親子交流の調停の成立や審判に向けて、必要に応じて更に調査や調整を行います。その際には、家庭裁判所から改めて親子交流の試行的実施が促される場合もあります。

家庭裁判所は、子の心身の状態に照らして相当でないときは、親子交流の試行的実施を促すことができないこととされています。この「子の心身の状態」を判断するに当たって、子の意見は、年齢や発達の程度に応じて考慮されることになります。

 

今回の記事はここまでです。

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