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親権者とは
親権者とは、未成年の子を監護・教育し、子の財産を管理する親のことです。
婚姻中は父と母が共同親権なので特に意識はしないものですが、離婚に伴って父又は母のいずれかを親権者として定めなければなりません。
未成年の子がいる場合、離婚届に親権者を父、母のどちらにするか記載しなければ受理してもらえません。
18歳以上の子については成人なので親権者の指定はしなくてもいいようになります。
親が離婚したからといって子の地位がなくなるわけではありません。
親と子という関係は変わりませんが、親権は監護・教育をする立場なのでしっかり定めなければ子の福祉に悪影響を及ぼすことになるのです。
諸外国では離婚後も元夫婦での共同親権を認めていることが多いですが、日本では離婚後は単独親権しか認められていません。
これは、離婚後に親権者同士が交流できないようなこともあり、権利が分散するとそれが子の福祉に良い影響を与えないだろうと危惧されるからです。
また、親権については子が複数の場合はそれぞれに親権者を決めます。裁判所手続きで決する場合は兄弟姉妹を引き裂くことは多くありません。ここでも子の福祉を最重要視します。
親権者の変更
親権者を離婚届に記載し、受理されるとその後に親権者を変更することは容易ではありません。親権者は、一度定めると家庭裁判所の許可がなければ変更は出来ません。
家庭裁判所の許可は、正当な理由がなければ認められません。親権者が決定される際の大きな要因は以下のとおりです。
- 別居してからの離婚の場合は、別居中に子と共に生活していた親が有利
- 乳幼児の場合は、圧倒的に母親になることが多い
- 15歳以上になると子の意見を尊重する
これをみると、もうほとんどは母親になると考えられますが、すべてのケースでそうなるわけではありません。
母親が暴力をふるう蓋然性がある(暴力歴があって可能性がものすごく高い)、薬物中毒の場合などかなり特殊で強烈な理由があれば母親ではなく父親が親権者となることもあり得ます。
一般的には母親が親権者になることが多いのですが、これは「認知」と少し似ています。認知とは父親が子を自分の子だと認めることです。
父親に対しては認知というものがありますが、母親には認知というものはありません。出産するのは母親ですから認知の制度を定めなくともすでに母親だと確定できるからです。
離婚協議書に条項として記載する
夫婦で協議して役所に離婚届を提出してする離婚は、協議離婚と言われる方式です。協議離婚の場合は離婚届を提出する前に離婚協議書を作成します。
離婚協議書には親権者が父なのか母なのかをしっかりと記載します。他にも養育費や財産分与など離婚に伴う取り決めを条項として記載します。
夫婦で協議できない状態や、協議したものの合意に至らない場合は夫婦いずれかが家庭裁判所に離婚調停を申し立てることになります。
離婚調停では調停委員を間に入れて夫婦間協議となります。ここでもう一度、親権者の定めや他の取り決め事を協議します。
まとまれば調停離婚として離婚をすることになりますが、合意に至らない場合は調停は不調で終了になります。
調停が不調で終了すると、夫婦のいずれかが離婚訴訟を提起できるようになります。
離婚訴訟は身分行為である夫婦関係についての訴訟ですので、まずは調停から始めなければならない定めです。
夫婦のことだからまずは夫婦で調停委員を間に挟んででも協議をし、互譲の精神をもって決めてくださいということです。これは調停前置主義といわれています。
離婚訴訟になると最後は判決によって決します。いくら裁判所とはいえ本人同士の意思で婚姻した夫婦を法律によって引き裂くのは第一手段としてはそぐわないのです。
親権者は子が幼年の場合は、やはり母親が有利といえます。夫が親権者になりたいケースでは、「妻よりも自分の方が経済力があるのだから」と主張されることが多いです。
しかしながら、「養育費で解決できる問題」とされることが一般的です。経済力があるのなら、子の福祉を考えるのなら、養育費をたくさん支払えばいいのでは?ということです。
民法第819条(離婚又は認知の場合の親権者)
父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならない。
2 裁判上の離婚の場合には、裁判所は、父母の一方を親権者と定める。
3 子の出生前に父母が離婚した場合には、親権は、母が行う。ただし、子の出生後に、父母の協議で、父を親権者と定めることができる。
4 父が認知した子に対する親権は、父母の協議で父を親権者と定めたときに限り、父が行う。
5 第一項、第三項又は前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所は、父又は母の請求によって、協議に代わる審判をすることができる。
6 子の利益のため必要があると認めるときは、家庭裁判所は、子の親族の請求によって、親権者を他の一方に変更することができる。
引用元:e-Govポータル
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