行方不明の夫と離婚できるか

通常、離婚するためにはまずは協議離婚です。協議離婚とは夫婦間で離婚や取り決め事項について合意できた時点で、離婚協議書を作成してから離婚届を提出してする離婚の方法です。

協議しても合意に至らない場合は、家庭裁判所に離婚調停を申立てします。離婚調停で合意に至った場合は調停離婚、離婚調停でも合意に至らないときは離婚訴訟となります。

では、夫(もちろん反対に妻のケースもあります)がいわゆる行方不明の場合はどうなるのでしょうか。結論から申し上げますと、夫が行方不明でも一定の場合は離婚は可能です。

離婚訴訟を提起する

通常は、いきなり離婚訴訟はできないことになっており、まずは離婚調停を経なければなりません。これを調停前置主義といいます。ところが夫は行方不明なので協議もできず、離婚調停もできません。

本件のようなケースでは、例外的にいきなり離婚訴訟を提起することが認められているので、訴訟提起をし、勝訴判決を得て離婚することになります。

離婚訴訟には法定離婚事由が必要

離婚訴訟を提起するためには法定離婚事由が必要です。法定離婚事由とは、法で定められた離婚の理由であり、いずれかに該当しなければなりません。法定離婚事由は以下のとおりです。

  1. 不貞行為
  2. 悪意の遺棄
  3. 3年以上の生死不明
  4. 強度の精神病で回復の見込みがない ※令和6年5月改正で削除
  5. その他婚姻を継続し難い重大な事由

3年以上の生死不明の場合

夫が行方不明になり3年経つと、3年以上の生死不明という法定離婚事由に該当する可能性があります。生死不明ということは、単に連絡がつかないといったことではありません。

夫と関係のある友人や知人にすべて確認しても不明で、警察署へも家出人捜索願を出しているが不明のままであるといった状態が必要です。ちなみに行方不明となった理由は必要ありません

失踪宣告とは

生死不明と似て非なるものに失踪宣告というものがあります。例えば、マグロ漁船で漁に出たものの、台風に遭い結果として行方不明になったような危難遭遇のケースでは、その時から1年間経過すると失踪宣告が可能です。

危難遭遇ではない場合は最後の音信の時から7年間経過することが必要です。失踪宣告が認められると、死亡したとみなされますので、婚姻関係も終了します。

悪意の遺棄の場合

もうひとつ、法定離婚事由で可能性があるのは悪意の遺棄です。悪意の遺棄とは、正当な理由がなく夫婦としての共同生活ができなくされたことです。

夫婦間には同居義務(夫婦関係破綻なら義務なし)と協力扶助義務がありますが、協力扶助義務に反した結果、夫婦共同生活を営むことができなくなったケースが悪意の遺棄に該当します。夫が家を出て連絡もとれず行方不明となり、もちろん生活費(婚姻費用)も支払ってもらっていない状態です。

悪意の遺棄は何年以上という定めはありません。何か月とかいう単位では認められない可能性が高く、生死不明が3年ということで、これより短い期間で認められるのならという判断になると思われます。

また、実務上では悪意の遺棄だけを法定離婚事由として訴訟提起するのではなく、その他婚姻を継続し難い重大な事由と絡めて訴訟提起することが実務上はほとんどのようです。

公示送達とは

いずれにしても訴訟提起をするわけですが、夫は行方不明なので連絡(訴状など)が取れません。つまり裁判所への呼び出しもままならないわけです。

そこで、公示送達という方法で訴訟をします。公示送達とは、裁判所の掲示板に呼出状等を張り出して、2週間経過により相手方(被告)に送達したとして扱うことです。公示送達により、夫と連絡が取れず裁判所への出頭ができなくても訴訟をすすめることができます。

なお、当事務所は行政書士事務所です。裁判所手続きの書類作成や手続きの代理は弁護士のみに認められており、当事務所では承ることができません。ここまで書いておいて申し訳ありませんが、ご依頼は弁護士にお願いします。

 

今回の記事はここまでです。

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