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不貞行為とは
不貞行為とは、配偶者以外の者と肉体関係をもつことです。デートをした、手を繋いだといった行為は、これだけでは不貞行為には該当しません。
不貞行為の証明は意外と難しいものです。探偵に依頼をしてホテルから二人で出てきたところを撮影した写真、これは証拠となり得ます。
「ホテルには一緒に入ったが何もしていない」と言い訳をしたとしても、肉体関係があると推認できる状況であれば足りることが多いです。
似たようなケースでは、夜に相手方の自宅へ入ったところと、明け方に相手方の自宅から出てきたところを撮影した写真の場合です。「風邪気味だったので看病していた」と言い訳をしたとしても、こちらもホテルのケースと同様です。
重要なのは、決定的瞬間でなくても推認できるものであれば複数を揃えて立派な証拠とすることができます。(合わせて一本)メールやLINEのやり取りも内容が具体的であったりすると、複数揃えれば証拠になり得ます。「そういう妄想プレイだ」などと抗弁できないようにすることがポイントです。
不貞行為の慰謝料とは
不貞行為の慰謝料は、被害を被った者が行為をした者に対して請求することができます。不貞行為は夫婦間の貞操義務違反に該当する行為です。
よって、不貞行為の慰謝料は不法行為に基づく損害賠償請求として認められます。また、一定の要件を満たせば事実婚の場合にも認められることがあります。
不貞行為の慰謝料請求の方法
不貞行為の慰謝料を請求する場合、離婚をする場合と離婚はせずに夫婦関係を継続する場合との2通りあります。離婚をする場合は、不貞行為の慰謝料請求も重要ですが、離婚に伴う取り決めをすることがもっと重要です。(項目=条項が多い)
不貞行為で離婚をする場合の慰謝料請求
配偶者に対してのみ慰謝料を請求する場合は、離婚協議書の中に条項を立てて、そこに慰謝料の金額、支払期日、支払方法などを記載します。
慰謝料に相場というものはありませんが、実務上では訴訟判決データをひも解くとほとんどが300万円以下です。
不貞行為が原因で離婚に至る場合は慰謝料も高額です。婚姻期間、収入金額、子の人数、不貞期間などが判断材料ですが、協議離婚の場合は双方が合意できた金額でOKなので裁判所手続きよりもはるかに柔軟に決することが可能です。
不貞行為の相手方にも慰謝料請求する場合は要注意です。不貞行為は当事者2名が行った行為であり、単独では成し得ないことです。法的には不真正連帯債務という関係になります。
損害賠償(慰謝料)の支払いは連帯して行うという意味合いですが民法の連帯債務とは異なります。慰謝料の請求は不貞行為をした2名に対して行うことになるのです。
例えば、配偶者から慰謝料として100万円の支払いがあり、不貞行為の相手方に対しても100万円の請求をして訴訟になった場合を考えてみましょう。
裁判官の判断で本件慰謝料は100万円が相当だと認定されると、すでに配偶者から100万円が支払われており、慰謝できていることになります。不貞行為の相手方は請求されても支払う必要がないことになります。(求償は別として)
配偶者に対しての慰謝料請求は先述したように離婚協議書によって行い、相手方に対しては慰謝料請求をすることになります。
相手方へは内容証明を利用して請求することを推奨します。「知らない、見てない」とは言えなくなる内容証明は裁判所手続きへ進んだ場合でも、慰謝料を請求した動かぬ証拠となるからです。
離婚はしない場合は誓約書や示談書を作成
不貞行為が発覚したものの、離婚はせずに夫婦関係を継続するケースです。先述した離婚に至るケースとはかなり異なります。
まず、慰謝料自体が離婚に至るケースと比べて低額です。また、配偶者に対して慰謝料請求をしたとして、その出捐(出どころ)が共有財産からであれば家計のお金なので無意味です。
配偶者から慰謝料を支払ってもらう場合は、その配偶者の特有財産である必要があります。特有財産は、婚姻前から所持していた財産や親族から相続・贈与で得た財産です。特有財産から支払わせることは意外と困難です。特有財産が無いケースもあります。
また、夫婦関係を継続するのだから、慰謝料請求だけでは足りません。関係修復を目指すので以下の内容を条項にした誓約書を作成することを推奨します。
・不貞行為の事実
・謝罪
・男女関係解消
・口外禁止
・損害賠償(慰謝料)
・違約金条項
不貞の事実を認めて謝罪し、不貞相手との関係を断ち、慰謝料を支払い、誓約事項に違約した場合の違約金条項を盛り込むことが肝要です。
不貞の相手方に対しては慰謝料請求では足りない
不貞行為の相手方に対して慰謝料を請求する場合も、先述した「離婚に至る場合」とは異なります。配偶者に対する慰謝料請求と同様に慰謝料だけでは足りないからです。
配偶者に対する誓約書と同様に男女関係の解消や違約金条項を盛り込んだ示談書を作成します。示談書なので相手方と示談することになります。相手方からすると示談により、すべて解決となるので内容はしっかり吟味する必要があります。
三者間での示談書
また、配偶者と不貞の相手方を含む三者間で示談をするケースもあります。この場合は示談書を作成することになりますが、書面上の当事者は3名ということになるので甲乙丙として3名ともが署名押印することになります。
示談できなければ裁判所手続きへ
不貞行為の損害賠償請求をしても支払ってもらえないこともあります。この場合は裁判所へ申立てをすることになります。調停から始めることが一般的ですが、調停でも合意に至らない場合は訴訟になります。
なお、不貞行為の慰謝料請求は、その事実と相手方を知った時から3年で消滅時効にかかり、3年を過ぎると請求ができなくなりますので注意が必要です。
不貞行為に該当しないことも
本人も認めている場合は不貞行為は確定ですが、訴訟になった場合等で弁護士が介入すると不貞行為を否定することがあります。
よくある抗弁としては、例えば、夫婦関係が破綻していたと主張するケースです。夫婦関係が破綻していると認められる場合については、夫婦の一方が配偶者以外の者と性的関係をもったとしても、これが必ずしも不貞行為になるとは限らないのです。
裁判では、相手に配偶者がいることを知っていたか否か、故意に夫婦関係を破綻させようとしたか否か、すでに夫婦関係が破綻していたのか否かが争点となるケースは多々あります。
また、一度きりでお互いにお酒の勢いで行為に及んでしまった場合や、性風俗関係の場合なども該当しないことも考えられます。
示談書や誓約書の作成は専門家へ
本記事に記述している示談書、誓約書、離婚協議書、請求書などの書類を作成する場合、ネット検索をしてひな形をダウンロードし、氏名や金額を変更して使用する方がおられます。
たまたま問題にならなかったケースもあるでしょうが、とてもおすすめできるようなことではありません。弁護士や行政書士といった士業のサイトでさえ内容が古く更新されていないこともあります。
当職もそうですが、士業は知識や実務能力を売っている職業です。誰にでも該当してどんなケースでも使えるようなひな形を無料で公開するわけがないのです。
今回の記事はここまでです。
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