不貞行為の示談書を作成

不貞行為は夫婦間の貞操義務違反に該当する行為です。つまり、被害を被った方には不法行為に基づく損害賠償請求が認められます。不貞行為は当事者2名が行った行為であり、法的には不真正連帯債務という関係になります。損害賠償(慰謝料)の支払いは連帯して行うという意味合いですが民法の連帯債務とは異なります。

不貞行為が発覚した場合、示談書を作成することが有用です。後に離婚することになる場合には決め手となる書面だといえます。(ただし、ネット上にあるテンプレートを使用することはとても推奨できません。本当に有用なものが誰でも無料で得られるはずがないとお考え下さい)示談書ですので、示談をする当事者3名で書類作成をするのが基本です。W不倫の場合には4名ということになりますがW不倫の場合は事前に考えておくべきことがたくさんありますので要注意ですが、スピードが命です。

不貞行為発覚後、離婚せずに関係修復を目指すこともあるので、不貞行為の示談書には損害賠償請求(慰謝料請求)の条項だけでは足りず、以下のような条項を記載することが想定されます。

・不貞行為の事実
・謝罪
・男女関係解消
・守秘義務
・損害賠償(慰謝料)
・違約金条項

不貞行為の損害賠償請求(慰謝料請求)

不貞行為の損害賠償請求は先述のとおり、不貞行為の示談書に条項として記載します。損害賠償の金額については、基準というものはなく、もちろん条文として法定されているものではありませんし、養育費や婚姻費のような裁判所の算定表があるわけではありません。

示談書を作成して示談で解決できる場合は当事者双方が合意した金額ですが、示談が整わない場合、裁判所へ申立てをすることになるので裁判所の決定に従うことになります。

なお、不貞行為の慰謝料請求は、その事実と相手方を知った時から3年で消滅時効にかかりますので、3年を過ぎると請求ができなくなりますので注意が必要です。

示談書ではなく、一方的に損賠賠償請求をすることも可能ですが、損害賠償請求以外にも重要な取り決めをしなければならないので、第一に示談書の作成をご検討ください。損害賠償請求のみをする場合については、実務として内容証明で請求することが想定されます。

そもそも不貞行為ではない場合

もう一点、注意すべきはそもそも不貞行為であるか否かです。本人も認めて、不貞行為であったことが明白な場合は当然に不貞行為だといえると思います。

しかしながら、例えば離婚を視野に入れた別居をしている夫婦の場合で、夫婦関係が破綻していると認められる場合については、夫婦の一方が配偶者以外の者と性的関係をもったとしても、これが必ずしも不貞行為になるとは限らないのです

裁判では、相手に配偶者がいることを知っていたか否か、故意に夫婦関係を破綻させようとしたか否か、すでに夫婦関係が破綻していたのか否かが争点となるケースは多々あります。また、一度きりでお互いにお酒の勢いで行為に及んでしまった場合や、性風俗関係の場合など明確な定めはありません。やはり個別に勘案しなければ判断されないということになります。

不貞行為が原因で離婚する場合

不貞行為を原因とする離婚の場合、夫婦双方で離婚協議をして離婚する協議離婚の場合は離婚協議書を作成します。この離婚協議書に慰謝料の条項を記載して請求することになります。慰謝料の記載については、金額だけを記載するわけではなく、支払方法なども記載しなければなりません。

特に慰謝料を分割払いにする場合、一般の方がネット上のひな形を使用して離婚協議書を作成すると、恐らく落とし穴にはまることになるでしょう。離婚協議書の作成は専門家に作成してもらうものです。

民法第709条(不法行為による損害賠償)
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。
引用元:e-Govポータル

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