事務所概要、取扱業務、報酬額案内、お問合せフォームなどは公式ホームページから
遺贈とは
遺贈とは、被相続人が残した遺言書に従って、遺産の一部または全部を特定の人に譲ることです。
遺贈が相続と異なる点は、遺言書を作成しておかなければできないこと、また、譲る相手が相続人以外の人、病院や地方自治体などの人以外の団体や法人でもOKというところです。
つまり、相続は相続人に対してしか遺産を与えることができませんが、遺贈は相続人以外に対しても遺産を与えることができるということです。
しかし、遺言書に(有効な遺言書)書いておかなければできないところが重要ポイントです。
遺贈に似ている死因贈与とは
遺贈と似ているものに「死因贈与」というものがあります。死因贈与は、死亡を原因とした贈与契約を締結しておくことです。
この契約は「私が死んだらAをBに譲る」という契約なので、遺贈と異なり受けとる相手とあらかじめの合意しておかなければできません。
合意があれば法定相続人でもそれ以外の第三者でも、財産を受けとれます。死因贈与契約は口頭でも有効ですが、紛争となる可能性がかなり高いので書面にすることを推奨します。
死因贈与には、受贈者にとっての負担がついてくる「負担付き死因贈与契約」というものがあります。これは、受贈者が遺産をもらう代わりに何かを負担する契約のことです。
例えば、母親の介護をすることを条件に不動産を死因贈与契約をするようなケースです。
負担付き死因贈与契約は、契約後に贈与者が勝手に破棄することは認められていないので、贈与することよりも負担を達成することが目的の場合はこの方法が確実です。
なお、贈与するものが不動産の場合は公正証書にすることを推奨します。公正証書にするのであれば仮登記もすることができるのでより確実です。
死因贈与は死亡を原因としているので贈与税ではなく相続税が課税されることになります。
死因贈与の受贈者が一親等の血族および配偶者以外である場合は、通常の相続と同じように相続税額の2割加算となります。
遺贈には2種類ある
遺贈には、包括遺贈と特定遺贈の2種類があります。
包括遺贈とは
包括遺贈とは、遺産の内容を特定せずに全部、あるいは遺産の何分の何というように割合を指定する遺贈です。
例としては「琵琶湖太郎さんに遺産の2分の1を譲る」というように遺言書に記載して指定します。
特定遺贈とは
特定遺贈とは、あらかじめ遺産のうちの特定のものを指定する遺贈です。
例としては「琵琶湖太郎さんには不動産を、琵琶湖花子さんには預金を、北湖清さんには株式を与える」というように遺言書に記載して指定します。
受遺者とは
受遺者とは、遺贈によって遺産を受けとる人のことです。
受遺者は相続人ではありませんが、包括遺贈で財産を受けとる包括受遺者の場合は、相続人と同等の権利義務が発生しますので、マイナスの遺産がある場合には債務自体も引き継ぐことになります。
一方、特定遺贈で財産を受けとる特定受遺者の場合は、受けとる財産があらかじめ指定されているので、相続人の権利義務とは異なります。
遺贈の注意点
遺贈には相続と同じく相続税が課税されることもあります。
現金以外の遺贈をする場合、あらかじめ相続税額を考慮していかなければ、高額な相続税が負担となって受遺者に課せられます。
また、相続人の遺留分を考慮した遺贈をしなければ、受遺者と相続人の間で紛争となる恐れがあります。
もし受遺者が相続人の遺留分を侵害している場合は遺留分侵害額請求をされます。遺贈をする際は専門家に依頼して細心の注意を払わなければなりません。
条件付き遺贈も可能
遺贈には条件を付けることができます。
負担付遺贈は、例えば「不動産は甲に与えるが、代わりに甲は私の配偶者花子の扶養をしなければならない」というように受遺者に一定の法律上の義務を負担させる遺贈です。
履行が不可能なものなどは負担としての効力を生じません。なお、先に記述した負担付き死因贈与契約と同じ趣旨でされる行為だといえます。
遺贈は放棄することもできる
遺贈は遺言者(遺言をした人=被相続人)の一方的な意思表示なので、死因贈与とは異なり、受遺者の意思には関係がありません。
よって、受遺者は遺贈の放棄をすることもできます。
包括遺贈の放棄
包括遺贈の放棄をしたい場合、自分に対して包括遺贈があったことを知った日から3か月以内に遺言者が亡くなった住所地の管轄の家庭裁判所へ申述をしなければなりません。
3か月以上経過しても包括遺贈の放棄をしなかった場合には、受けることを承認したとみなされます。包括遺贈は、相続人と同じ権利義務を有するため、相続放棄と同じ手続きとなります。
特定遺贈の放棄
一方、特定遺贈の放棄は、相続人か遺言執行者(いる場合)に対して意思表示をするだけです。実務としては内容証明で遺言執行者に送付します。
また、包括遺贈の放棄とは異なり、期限はありません。
しかし、遺贈義務者や利害関係者は、期間を定めてその期間内に遺贈の受け取りをするか否か、受遺者に対して催告することができ、受遺者が期間内に回答をしなかった場合は、承認したものとみなされます。
民法第964条(包括遺贈及び特定遺贈)
遺言者は、包括又は特定の名義で、その財産の全部又は一部を処分することができる
行政書士かわせ事務所公式ホームページの「遺言書のページ」もご覧下さい
事務所概要、取扱業務、報酬額案内、お問合せフォームなどは公式ホームページから