DVやモラハラが離婚の原因に

離婚の原因として近年増えているのがDVやモラハラです。また、以前なら夫婦喧嘩の域をでなかったかもしれないモラハラは現在では離婚の理由として少なくありません。

DVやモラハラが発生した場合に、離婚することも大きな決断ですが、離婚はせずに同居を継続し、夫婦としてやり直すことも離婚に負けず劣らず大きな決断といえます。

民法上の同居義務

そもそも民法では夫婦に同居の義務が定められています。婚姻した場合、同居をして相互扶助する義務を負うことになっているのです。

しかしながら、夫婦に同居義務があっても、DVやモラハラで身体的、精神的に被害を被っている場合では必ずしも同居義務を履行しなければならないわけではありません。

「配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律」でも、配偶者からの身体的暴力と精神的暴力については重大な人権侵害であると定められています。

DVやモラハラに関する合意書

DVやモラハラがあっても同居をする場合の合意書

DVやモラハラの場合、すぐに離婚協議はできないことが多く、その場合は別居をすることになります。まずは現在の暴力から逃れるためには別居が有効だからです。

別居を開始した後に、再び同居を復活させて夫婦関係を再構築するケースは、「DVやモラハラをしない誓約」と「同居継続」の2点に的を絞った合意書を作成することになります。

まず、DVやモラハラの事実と謝罪を記載します。事実については出来る限り詳細に記載することを推奨します。もし、今後離婚へ舵を切ることになった場合に、この合意書が思わぬところで役に立つことがあるからです。別居に関する合意書もそうですが、男女問題の書類作成は後に離婚に至ったときのことも考えて作成します。

次に、もう二度とDVやモラハラをしない旨の誓約を記載します。そして、その誓約を遵守するのであれば同居を継続する旨の記載をします。

もちろん人により異なりますが、息を吐くようにウソをつく人もいます。そこで、誓約したこと対して違反する場合は、同居をとりやめて別居をすることに異議を述べない旨の記載もしておきます。

最後に、損害賠償をする場合には金額を記載して請求する内容にします。このお金が、いわゆる家計から支払われるのであれば無意味になります。右手で投げたボールを左手でキャッチするのと同じです。この金員の出捐(出どころ)は特有財産からするようにしましょう。

DVやモラハラがあって同居を拒否する場合

同居することを拒否して別居を選択する場合については、DVやモラハラの事実、謝罪、そして損害賠償(慰謝料)についても記載をします。

同居を拒否するということは別居を選択するということなので、接近禁止等について記載します。DVの場合で酷いケースになると民事の合意書ではなく警察へ相談することを推奨します。この場合は接近禁止令などを視野に入れます。

DVやモラハラがあって離婚をする場合

DVやモラハラがあり、許すことができなくてそのまま離婚をする場合には、合意書を作成するのではなく、離婚協議書を作成することになります。

DVやモラハラに関して、その部分だけを合意書にするのではなく、離婚の取り決め事項を重要視して離婚協議書を作成する方がはるかに有益だからです。

当事務所で離婚協議書を作成する場合、離婚の理由としてDVやモラハラについて記載をし、別の条項で慰謝料についても記載します。

DVは刑法上の犯罪です

なお、DVは刑法でも犯罪です。殴られたり蹴られたり、物を投げつけられたりすることは暴行罪です。そしてケガを負った場合は傷害罪になります。

後々のために出来る限りの資料や証拠は残すようにすることもとても重要です。資料や証拠があれば告訴状を警察署に提出し、捜査が始まり逮捕されて、送検されたら前科がつきます。罰金で済むだろうと考える方もおられますが、罰金も前科が付きます。拘禁刑(以前の懲役刑)だけが前科がつくのではありません。

DVで身の危険を感じるのであれば迷うことなく警察署へ相談に行かれることを推奨します。「警察は民事不介入だから何もしてくれない」などと言う人もいます。確かに民事不介入なのは間違いありませんが、そもそもDVは民事ではなく立派な刑事事件です。

 

今回の記事はここまでです。

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